ジュリアン・ムーア×渡辺謙×加瀬亮『ベル・カント とらわれのアリア』麗しき予告が到着
1996年にペルーで起きた日本大使公邸占拠事件を基にテロリストと人質の予期せぬ交流を描いたアン・パチェットのベストセラー小説を映画化した『ベル・カント とらわれのアリア』が11月15日(金)から公開される。このたび、予告映像が到着した。
実業家のホソカワは通訳のゲンと共に招かれた、南米某国の副大統領邸でのパーティを心待ちにしていた。ホソカワの会社の工場誘致を目論む主催者が、彼が愛してやまないソプラノ歌手のロクサーヌ・コスのサロンコンサートを企画したからだ。現地の名士や各国の大使も集まり、女神のようなロクサーヌの歌声が流れたその時、突然、収監中の同志の解放を要求するテロリストたちがなだれ込み副大統領邸を占拠する。赤十字のメスネルを介して政府と交渉するなか、ロクサーヌの歌をきっかけに、テロリストたちと人質たちの間に交流が生まれ始めるが…。
ロクサーヌ・コス役を『アリスのままで』(14)で第87回アカデミー賞主演女優賞を獲得したジュリアン・ムーアが、ロクサーヌの大ファンである実業家のホソカワ役は『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(19)などに出演し、ミュージカル「王様と私」では第69回トニー賞にノミネートされた渡辺謙が、通訳のゲンとして『永遠の僕たち』(11)や『沈黙-サイレンス-』(16)などの加瀬亮が演じるなど、一流キャスト陣が集結している。
到着した予告映像は、南米某国の副大統領邸でのパーティに招かれたロクサーヌと、ホソカワとの出会いから幕を開ける。集った者たちがロクサーヌの美声に魅了されていると、突如銃声が鳴り響き、テロリストたちによって公邸が占拠され出席者たちはパニック状態に。政府、交渉人、テロリスト、人質と様々な人間による思惑や情報が錯綜するなかで、ロクサーヌの歌声をきっかけに本来正反対の立場であるテロリストと人質が心を通わせていく様子が描かれていく。はたして、人質となったロクサーヌたちとテロリストがどんな運命を辿るのか、注目せずにはいられない映像となっている。
また、映像内ではロクサーヌの歌声を吹替えたオペラ歌手、ルネ・フレミングの崇高な歌声も堪能できる。第90回アカデミー賞作品賞を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)の挿入歌「ユール・ネヴァー・ノウ」でも知られるフレミングが本作のボーカルをレコーディングした際、ジュリアンも役作りのために立ち会ったそうで、ソプラノ歌手の歌い方、姿勢、身振りを学び取ったという。アカデミー賞受賞女優のジュリアンが不断の努力によって生みだした圧巻の演技にもぜひ注目してほしい。
本作を監督したポール・ワイツは「映画の最初の部分では、キャラクターたちは敵対している。でも、彼らの違いは、経験や恋愛、音楽や死すべき運命を共有し合うことで徐々になくなっていく。彼らは互いに絆を結んでいく。これこそが、まさにオペラ的なテーマだ」と語り、「最近の出来事を見ると、この物語は小説が初めて出版されたころより、ずっと現実的なものになっている」とも指摘するなど、象徴的な作品となった本作。文化や立場を超え、人と人との心が音楽によって結ばれていく様を、ぜひ体感してほしい。
文/編集部