【連載】「尾崎由香のぴゅあっとムービー」10月 今月の映画:『ジョーカー』
映画好きで知られる声優・尾崎由香が、鑑賞した映画や自身のあれこれについて語る「尾崎由香のぴゅあっとムービー」(「月刊シネコンウォーカー」&「月刊イオンエンターテイメントマガジン」連載中)。今月は、第76回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞、心優しい孤独な男が狂気に満ちた“悪のカリスマ”に変貌する姿を描いた衝撃のドラマ『ジョーカー』(公開中)を取り上げる。
ジョーカーといえば、バットマン最大の敵として知られるDCコミックス随一のヴィラン。これまでにもジャック・ニコルソン(『バットマン』)、ヒース・レジャー(『ダークナイト』)、ジャレッド・レト(『スーサイド・スクワッド』)などの俳優たちが映画で独自のジョーカー像を築いてきたが、今回はホアキン・フェニックスが渾身の役作りで、どん底でもがく男アーサー(=ジョーカー)を体現。“アメコミ映画”という枠組みを軽々と超越した圧巻の演技で、早くも本年度のアカデミー賞最有力と目されている。そんな話題作を、彼女はどのように観たのか?
どんな場面でも周囲を笑顔にさせたいなって。
高校生のころに、映画好きな友達に「すごくおもしろいよ!」って熱弁されたのがきっかけで、「ダークナイト」にハマったんです。現実離れした能力を持つヒーローと比べると、バットマンは普通の人間だから身近に感じられて好きになって。
それにジョーカーが際立っていて、悪役なのに憎めない魅力があるんですよね。もう大好きな映画の一本で、よく人にもオススメしていたくらいなので、だから今回ジョーカーの映画があると聞いて、これは絶対観なきゃダメだ!って思ってたんです(笑)。
この映画ではジョーカーの誕生が描かれていますが、とにかく圧倒されて、同時にせつなくなりました。夢があって、憧れの人もいて、愛情も深くて…という普通の人がジョーカーになることに怖さを感じたし、こんな境遇になったら誰しもジョーカーになる可能性があるんじゃないのかな?って思わされたり…。
ヒース・レジャーのジョーカーは衝撃的でしたが、今回のホアキン・フェニックスの演技もすごくて。やせた背中だけで異様な不気味さが伝わってくるし、止まらない“笑い”も怖くて印象的。観終わって、ジョーカーが好きっていう気持ちがますます強くなった気がします。
ちなみに、ジョーカーじゃないですけど、わたしにとっても“笑顔”って大事で。やっぱりどんな場面でも、楽しい空間にしたいし、自分が笑顔でいることで周囲の人を笑顔にせさたいなって思うんですよね。
●尾崎由香プロフィール
1993年生まれ、東京都出身。15年より声優活動を開始し、17年にテレビアニメ「けものフレンズ」のサーバル役に抜擢され注目を集める。18年には「LET’S GO JUMP☆」でソロデビューを果たし、今年8月に1stソロアルバム「MIXED」をリリース、9月には1stワンマンライブを開催するなどアーティストとしても活躍中。11月1日(金)には東京経済大学の葵祭にてトークショーを行う予定。
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取材・文/編集部