是枝裕和監督、カトリーヌ・ドヌーヴやジュリエット・ビノシュを演出できた『真実』に感慨「夢のよう」
第71回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『万引き家族』(18)の是枝裕和監督による初の国際共同製作映画『真実』(10月11日公開)のジャパンプレミアが、10月3日にTOHOシネマズシネマズ六本木ヒルズで開催され、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、日本語吹替版声優を務めた宮本信子、宮崎あおい、佐々木みゆ、是枝裕和監督が登壇。是枝監督は、ドヌーヴたちを迎えた本作について「映画を撮り始めても現実感がなく、夢のようなことでした」と感慨深い表情を見せた。
本作はドヌーヴ演じる奔放でわがままな大女優ファビエンヌと、ビノシュ演じる娘リュミールとの間に隠された真実を描く人間ドラマ。本年度のヴェネチア国際映画祭で、日本人監督初のコンペティション部門オープニング作品として上映された。
ドヌーヴは是枝監督について「最初は通訳を通してしかコミュニケーションを取れなかったけれど、徐々に一緒に過ごしていくうちに、監督の目線や表情で、監督がこう感じているのかなと、いろんなことを察せるようになっていきました」と語った。
ビノシュは2005年に是枝監督と出会ってから交流を重ねてきたそうで「彼と映画を作ることが夢でした」と万感の想いを口にした。また、是枝監督作『誰も知らない』(04)について「子どもたちが無邪気に描写されていて、それを通して人生のディテールが描かれていることに感動しました」と称えると、是枝監督もうれしそうに「「『誰も知らない』に出てくれた子たちも今日、(観客として)来てくれています。こうやって人と人を映画がつないでくれているんだなと改めて壇上で感動しています」と感無量の表情で語った。
ファビエンヌ役の声優を務めた宮本は「初めての吹替えの仕事でした。ファビエンヌがどういう人物かを理解し、それをどう表現するかをよく考えて仕事をしたつもりです」と述べた。リュミール役の声優を務めた宮崎はビノシュとの対面に感激し「ずっと映画を観ていたので、昨日お会いした時、なんだか涙が出てきそうになって、棒のように固まってしまい、監督に笑われました」とハニカミ笑顔を見せた。
また、『万引き家族』での演技も話題となった子役の佐々木は、吹替えの仕事について「初めてだったんですけど、これがチャンスだと思って、頑張ってやってみたら、すごく楽しくてうれしかったです」と頼もしいコメントをし、会場の反響を呼んだ。
取材・文/山崎 伸子