『毒戦 BELIEVER』名優キム・ジュヒョクの狂気溢れる本編映像が到着!
韓国で観客500万人突破の大ヒットを記録し、その圧倒的な完成度と個性に魅了され異例の完全版まで公開された映画『毒戦 BELIEVER』が10月4日(金)より公開される。濃ゆいキャラクターたちが次々と登場する本作だが、このたび“闇マーケットの王”ハリムを強烈な存在感で演じきり、本作が遺作となったキム・ジュヒョクの過激な本編シーン映像が到着した。
日本でも熱狂的なファンを持つ潜入捜査ノワールの傑作『新しき世界』(13)を超え韓国で大ヒットを記録した本作。ある日、組織の麻薬製造工場が爆破され、事故現場からラクと名乗る青年(リュ・ジュンヨル)が唯一の生存者として発見される。姿なき麻薬王“イ先生”を執拗に追い続ける麻薬取締官〈通称マトリ〉のウォノ刑事(チョ・ジヌン)は、組織に捨てられた彼と手を組み大胆かつ危険極まりない筋書きによる組織への潜入捜査を決意するが…。
濃すぎるキャラクターの面々を韓国屈指の演技派俳優たちが演じているのも、本作の大きな魅力のひとつ。“執念のマトリ”ウォノ刑事を演じるのは、『お嬢さん』(17)や『工作 黒金星と呼ばれた男』(19)のチョ・ジヌン。組織の捨て犬ラクを、『タクシー運転手 約束は海を越えて』(18)のリュ・ジュンヨル。映画やドラマだけでなくバラエティ番組「三食ごはん」で人気の“残虐なクリスチャン”を演じるチャ・スンウォン。“狡猾なドラッグディーラー”ソンチャン役のドラマ「ミセン -未生-」のパク・ヘジュン。さらに本作への出演で注目され、第55回大鐘賞の助演女優賞を受賞したジャンキーの毒婦ポリョンを演じるチン・ソヨン、“イ先生”との接点を持つオ・ヨノクを演じるベテラン女優のキム・ソンリョンなど、監督こだわりの一度見たら毒されるキャラクターが続々と登場する。
そして今回、主人公のウォノ刑事とラクが手を組み組織への潜入捜査をするにあたって最初にコンタクトをとる闇マーケットの王ハリムを演じたのが、名優キム・ジュヒョク。期せずして本作撮影後の2017年10月に交通事故によって突然この世を去り、本作が遺作となった彼だが本作での演技が高く評価され第39回青龍映画賞、第55回大鐘賞映画祭で助演男優賞を受賞した。
このたび到着した本編映像では、麻薬組織のディーラーに扮したウォノ刑事とラクが麻薬取引のために、ホテルへとキム・ジュヒョク演じるハリムを訪ねるシーンから始まる。握手をしようとするハリムの手は血だらけで、傍らにいるジャンキーの毒婦ポリョンとともに眼光はするどい。「お前は誰だ?」とすべてを見透かしたようにウォノに迫るハリム。その狂気の表情と圧倒的な存在感に、まるで潜入捜査の現場にいるかのような緊張感を強いられる。本作のイ・ヘヨン監督も撮影を振り返り、「カメラが回り始めた最初のカット。私は未だにあの瞬間を忘れることができません。そして当時、現場にいた全員が、今でもあの時のことを口にします。熱いけれど冷たく、爆発しながらも感情を抑制したエネルギーが放出され、それは私がシナリオ作家としても監督としても、期待と想像を超えた演技でした。本作を観た観客の胸に永遠に刻まれるような演技でした」とその演技を賞賛している通り、キム・ジュヒョクの狂気が滲み出たリアルな演技から目が離せない強烈なシーンとなっている。
監督が「ノワール映画に挑戦する中で、僕が一番達成したいと思っていたことは、ぞれぞれのキャラクターをできるだけ魅力的に引き立たせることだった!」と最もこだわったという劇中キャラクター。その中でも、“闇マーケットの王”ハリムを演じた故キム・ジュヒョクの強烈な存在感とその狂気の表情はまさに圧巻!思いがけず遺作となってしまった本作での魂の演技を、ぜひ劇場で見届けてほしい。
文/富塚 沙羅