中田は明治顔!? オリラジ藤森&中田出演の『津軽百年食堂』が完成
お笑いコンビ・オリエンタルラジオの藤森慎吾と中田敦彦が出演する映画『津軽百年食堂』が4月2日(土)より公開となる。3月4日に都内で開催された完成披露試写会では、オリラジのふたりをはじめ、福田沙紀、前田倫良、大森一樹監督、原作者の森沢明夫が登壇し、舞台挨拶を行った。
明治42年の弘前。鰯の焼き干しを使った出汁が評判の津軽蕎麦屋台を営む大森賢治(中田敦彦)は、戦争で夫を失ったトヨ(早織)に淡い恋心を抱き、トヨと共に店を持つことを夢見ていた。一方、現代の東京では、バルーンアートで生計を立てている大森陽一(藤森慎吾)が、偶然出会ったカメラマンの七海(福田沙紀)の照明器具を壊してしまう。陽一は、弘前に100年続く大森食堂の四代目だった。父の哲夫(伊武雅刀)との確執から家を飛び出した陽一だったが、その心中は、故郷に対する捨て切れぬ思いと将来への不安に揺れていた。
青森県弘前を舞台に、100年続く蕎麦店をめぐり、苦労の末に店を開業した明治時代の初代店主と、伝統から逃げて現代の東京で暮らす四代目の若者の姿を並行して描く本作。今回、初の映画主演を務めた藤森は、「主演という話をいただいた時は、正直にやけてしまいました。一生に一度できるか、できないかの貴重な経験をさせてもらいました。非常に素敵な作品になっていると思います。皆さんにも是非、弘前に足を運んでほしいです」と作品と共に青森のPRも忘れず、主役らしい一面を見せた。
一方、明治時代に蕎麦屋台を営む役柄を演じた中田は、「非常にぼくとつとした演技を心がけました。自分で見てもぼくとつと演じられていると思います。皆さんにもぼくとつと見てほしいです。監督から一番ほめられたのは、顔が明治っぽいという点。昭和顔という話は聞いたことがありましたが、どうやら僕は明治顔のようです。新しい才能に気付かせてもらいました」と撮影で得た、自信に満ちたコメント。
劇中でカメラマンの七海役を演じた福田沙紀は、「この映画は心に染みる、温かい映画です。私はプライベートでもよく風景を撮っていて、撮影現場でも実際に撮影したりして1人で楽しんでいました」と撮影当時の様子を振り返った。また、中田演じる賢治の世話を焼く宗八役に扮した前田倫良は、「明治時代の津軽弁はまるで外国語のようで苦労しました。撮影では、中田さんのぼくとつとした様子に、ないはずの母性が芽生えて本当に世話をしたくなりました」と、中田との共演で感じた心境を語った。
監督は『世界のどこにでもある、場所』(公開中)の大森一樹。オリラジのふたりについて監督は、「撮影初日、『こいつら、やるな』と思った。できあがった映画をご覧になったら、『これがオリラジか?』と思うくらい、思わぬ良い芝居をしているので楽しんでもらいたい」と話し、俳優としてのオリラジの演技を絶賛した。また、原作の森沢明夫は、『完成した映画を見て、『原作と違うな』というのが最初の感想です。でも原作どおりだと、原作を読んだ読者の方たちは先が読めてしまう。良いさじ加減で変えてくれているので、さすが大森監督だと思いました」とコメントし、大森監督の手腕を称えた。
イベント後半には、オリラジのふたりが映画で習得した津軽蕎麦を披露。監督は「(味は)大丈夫。撮影の時に食べたものと同じ味」とあっさりとした感想。大豆を使った麺に「バサバサ切れるんだね」いう正直な感想を話すと、「それが津軽蕎麦です」と藤森が突っ込み、森沢は「癒しの味なので、食べると青森に行きたくなります」と作家らしいコメントを放った。
最後に大森監督は、「ここ数年の間の自分の映画でも自信作なので満足してもらえると思う。それにこの映画は1時間47分という手頃な長さ。最近の日本映画は1本見るのに2本分の時間がかかる」と日本映画の長尺化への苦言も呈しつつ、「何杯でも食べられる津軽蕎麦のように、何回も映画を楽しんでほしいです」とコメントし、イベントは終了。大森監督が太鼓判を押すオリラジの名演技にも期待しながら、映画の公開を心待ちにしてほしい。【取材・文/鈴木菜保美】