「活動弁士」「無声映画」って?映画創成期にホントにあった!驚きの映画作りとは
『Shall we ダンス?』(96)や『シコふんじゃった。』(92)を手掛けた、周防正行監督の5年ぶりの最新作『カツベン!』(12月13日公開)がついに完成した。本作は、映画がモノクロ(白黒)でサイレントだった時代を舞台に、活動弁士(映画にセリフや説明を付ける職業)になることを夢見る青年の奮闘を描いたヒューマン・コメディだ。
日本人が当時最先端だった映画の虜になったのは、楽士の奏でる音楽とともに、独自の“しゃべり”で観客を映画に引き込む「活動弁士」、通称“カツベン”がいたからといってもいい。
「活動弁士」をテーマにした、映画を愛する者たちが繰り出すドタバタ劇を演じ切るのは、七色の声を持つ天才的な活動弁士の主人公、俊太郎役には第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、「声」にまつわる壮絶なオーディションを勝ち抜いて映画初主演を掴んだ成田凌、ヒロインの新人女優役を『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』(18)など数々の映画に出演する若手女優の黒島結菜が演じる。さらに、竹中直人、渡辺えり、小日向文世ら周防作品おなじみの実力派キャストとともに、永瀬正敏、高良健吾、井上真央、音尾琢真、竹野内豊など周防組初参加の面々が、一癖も二癖もある個性的なキャラクターたちを演じる。
そんな、豪華声優陣を迎える本作で、監督が特にこだわり抜いたのが映画創成期をそのまま映し出したかのような小道具、劇中に登場する無声映画、映画館で働く人々の日常だ。
多くの人が知らない映画創成期時代の映画作りとはどのようなものだったのだろうか?
映画のはじまりを語るのには外せないキーワードとともに紹介する!
活動弁士(かつどうべんし)
無声映画に合わせて登場人物に声を当てたり、場面の説明を行うしゃべりのプロ。大正時代末の全盛期には、8000人近くの弁士が活躍。活動弁士によって映画の解説の仕方が変わるため、個性的な説明を付け人気を博した者もいたそう。
無声映画(むせいえいが)
劇中に登場する無声映画はすべて、監督の発案で新規で撮影されたもの。オリジナル作品と名作を再現したものがあるが、映像には多彩なゲストが出演しているので要チェック!
青木富夫(あおきとみお)
小津安二郎監督の『突貫小僧』(29)などで知られる名子役。小津を敬愛する周防監督は過去4作で同名のキャラクターを劇中に登場させており、そのすべてを竹中直人が演じている。
いまとは作り方や見せ方は違えど、「活動弁士」が活躍していた時代も、映画は人々に笑いと驚きを与えていたに違いない。
豪華共演陣の快演も楽しく、話題の俳優たちが出演する劇中の無声映画にも心奪われる『カツベン!』。映画本来の楽しさにあふれており、お正月に友達や家族と観て盛り上がるのにピッタリだ!
文/イソガイマサト【シネコンウォーカー編集部】