濱田岳と水川あさみが語る“良い夫婦”とは?「罵詈雑言を浴びせ合っても、いい夫婦」
第 32 回東京国際映画祭(TIFF)のコンペティション部門出品作『喜劇 愛妻物語』の記者会見が、TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、主演の濱田岳、共演の水川あさみ、足立紳監督が登壇した。主人公となる自意識過剰のダメ男、豪太役を演じた濱田は「僕は子役からやっていますが、初めて出る大きな映画祭の仕事が、豪太であったことを悲しく思います」と言って笑いを取った。
『喜劇 愛妻物語』では、うだつの上がらない脚本家の豪太に、ものすごい速さでうどんを打つ四国在住の女子高生を取材して脚本化してほしいという依頼が舞い込む。早速、家族3人でシナリオハンティングの旅に出るが、現地に着くと、すでに別チームによる映画化が決定していて、豪太は妻のチカから罵詈雑言を浴びる。
本作は、『百円の恋』(14)の脚本家、足立紳が自身の体験談をベースにした監督&脚本作品となっている。MCの笠井信輔アナから「実体験の映画化ということで、奥様は怒らなかったですか?」と聞かれた足立監督は「まったくないです。脚本は妻と一緒にやることが多いので、妻がさらにひどい台詞に直してくることもありますし、むしろいい共同作業ができたと思っています」と答えた。
濱田は「豪太はよく妻のチカちゃんから『へらへらしやがって』と怒られるので、どういう表情なんだろうと思っていて、パッと監督を見たら、横でへらへらされていて、さすがだなと(笑)。監督がそばにいてくれたら、それが良かったです」と言うと会場は大爆笑となる。
豪太役について、濱田は「やはり役であることを理解しても、毎日毎日罵声を浴びるのは辛いものだなと。でも、だんだん慣れてくると、おもしろくなってくる。自己防衛本能に感心しました。すごく迫真に迫って『死ね!』とか言われても、『いまのいい“死ね”だったな』と思う自分がいました。それは水川さんのおかげで、後半は楽しくてしかたがなかったです」とコメント。
水川も「毎日罵声を浴びせていると、それも慣れてきて、どんどん声が大きくなっていくというのはありました。監督は、岳くんを演出されている時も、だいたいへらへらしています。だから、お芝居が済んだあと、2人が同じ顔をして並んでいたときの腹立たしさといったらなかったです」と言うと、再び会場で笑いが起こる。
また、「良い夫婦とは?」と尋ねられた濱田は「なかなか難しい」としながら「ずっとラブラブな2人がいい夫婦だと思ってはいたんですが、この役をやってみて、お互いがいい距離感を保っていれば、罵詈雑言を浴びせ合っても、いい夫婦なんだなと思いました」とコメント。
俳優の窪田正孝と結婚したばかりの水川も、良い夫婦の関係性について「なかなか難しい」と口を揃えつつ、「夫婦は、一番身近にいる他人で、そういう人がそばにいて、人生を共にするのは、すごく奇妙でおもしろいこと。また、すごくすばらしくて、それぞれの夫婦の形が、本当にすばらしい個性なのかなとも思います。この映画を通じて、いろんな夫婦のあり方があり、それがすてきなことだなと伝われば、うれしいなと思います」と答えた。
取材・文/山崎 伸子