北米でDisney+のサービス始動!初日に会員数1000万人を超え、好調スタート
11月12日、ディズニーが総力をあげて開始する配信プラットフォームサービス、Disney +がサービスを開始した。同日にオープンしたのは、北米、カナダ、オランダの3か国、来週にはオーストラリアとニュージランド、以降各国でのサービスを開始する。ディズニーは8月に行われたファン向けコンベンション「D23」でDisney+の新規加入者を募集、イベント中に3年契約すると大幅割引が受けられるプランを発表していた。また、北米携帯会社大手Verizon加入者は1年間無料で視聴可能。傘下のスポーツ専門チャンネルESPN、配信プラットフォームHuluと3つのプラットフォームを組み合わせた「バンドル」を12.99ドルで販売している。バンドルプランだと、Disney+ (6.99ドル)、Hulu(5.99ドル)、ESPN(4.99ドル)の合計額よりも約5ドル安くなる。
初日の加入者数が1000万人を超えたとの報道があったが、この数にD23での加入者数、Verizon経由の加入者数、そして現在7日間の無料期間中である加入者数が入っているかは明らかになっていない。また、サービス開始当初にはサーバーに負荷がかかりすぎたのか、一時サービスが不安定になるという通信障害も報告されている。
とはいえ、世界の興行収入でも常にトップに入るディズニー、マーベル、ルーカス・フィルム、ピクサーアニメーションの作品が全てラインナップされ、さらにオリジナル作品も豊富に作られるとあっては、誰もが試してみたいと思うサービスであることは間違いない。特に、全てのコンテンツはPG-13(13歳未満は保護者の同意が必要)より下のレーティングに抑えられているため、子どもを持つ家庭に向いている。子ども向けのプロフィール画面も用意されていて、好きなディズニーキャラクターからプロフィール画像を選ぶことができる。
気になるオリジナルコンテンツだが、「スター・ウォーズ」のスピンオフ作品で宇宙の賞金稼ぎたちを描く「Mandalorian(原題)」や『わんわん物語』(55)の実写版『Lady and Tramp(原題)』、「ハイスクール・ミュージカル」のリブート版など、バラエティに富んだラインナップが並ぶ。「Mandalorian(原題)」などのシリーズ作品は今後毎週金曜日に最新エピソードが配信される。おもしろいのは、現時点で日本でのサービス開始は未定であるものの、オリジナル作品のうち「Mandalorian(原題)」、「ハイスクール・ミュージカル」、ジェフ・ゴールドブラムが日常品の科学と歴史を明かすリアリティ番組「The World According to Jeff Goldblum(原題)」、ピクサーのキャラクターたちが現実世界を旅する「Pixar in Real Life(原題)」において、日本語吹替が装備されていること。どの作品にも日本語字幕はない。ディズニーはこれから数年かけてアジアを含む世界各国でサービスを開始して行くことを明示しており、日本語字幕は日本でのサービス開始の伏線となるかもしれない。
アメリカでは2019年下半期にApple TV+とDisney+、2020年上半期にはHBO MaxやNBCのストリーミングサービス、ドリームワークスアニメーションの元CEOジェフリー・カッツエンバーグとヒューレット・パッカードの元CEOが組んで開始する短尺映像配信サービス「Quibi」もサービス開始を予定している。その中でもDisney+は、エンターテイメント業界の巨大企業が先行サービスであるNetflixやAmazonに対抗する肝いり事業として、業界だけでなくアメリカ中の注目を集めている。Disney+の加入者数については来年2月まで発表しないとされているが、年間契約者の動向がわかる来年11月が決戦の時と言われている。
文/平井伊都子