日中合作の超大作に主演の役所広司、過酷な撮影を振り返り「アクション映画はもういいかな(笑)」
日本映画界を代表する俳優の役所広司と、『M:I‐2』(00)、「レッドクリフ」シリーズなど数多くの大ヒット作を手掛ける名プロデューサーのテレンス・チャンが初タッグを組んだ日中合作映画『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』(公開中)の公開記念舞台挨拶が16日TOHOシネマズ日比谷で開催。主演の役所広司、日本語吹替え版を担当した声優の沢城みゆきと宮野真守が登壇し、役所はその過酷な撮影を振り返って「アクション映画はもういいかな(笑)」と笑顔で本音を明かした。
世界最高峰のエベレストを舞台にした日中合作のアクション・エンタテインメント超大作となる本作。役所演じる“ヒマラヤの鬼”と呼ばれる隊長ジアン率いるヒマラヤ救助隊「チーム・ウイングス」が、エベレストに墜落した飛行機に残された重要機密文書の回収に挑むが、標高 8848m、氷点下 83°Cの中、救助隊に不測の事態が襲いかかる…。救助隊チームの新メンバーを演じるチャン・ジンチューの日本語吹替えを沢城みゆき、同じくチームの若き救助ヘリパイロット役のリン・ボーホンの声を宮野真守が担当する。
日本語吹替え版で自らの声をあてた役所は、冒頭「チームウィングスの隊長の声を担当しました、役所広司です」と会場の笑いを誘い挨拶。続いて沢城は「どんな顔してこの場に立ったらいいのか(笑)。一度も冷たい思いはしていませんが、一生懸命吹替えしました」と過酷な撮影を経た本作に想いを込めると、宮野は「とても大変なロケでした(笑)、という気持ちで吹替えさせていただきました。本当に素晴らしい作品に参加させていただけて光栄です」と観客へと挨拶。
標高6000mでアクションシーンの撮影を敢行している本作。役所は「監督が粘り強いと言いますか。アクションシーンを何回も何回もやるんで、それは結構体格のいい俳優さんもヒーヒー言ってましたね。やっぱりアクションのある映画は大変だなと思いました(笑)」と率直な思いを笑い交じりに吐露。さらに実際に行っているワイヤーアクションに話が及ぶと「チャン・ジンチューさんは、30時間くらい吊るされてたんじゃないですかね。僕も一緒に結構吊るされていまして、体中ロープが絡まってアザだらけになっていました」と告白し会場を驚かせた。
さらに本編について「どのシーンがCGかも分からなかった。全部が雪山で行われているかと思うような、鬼気迫るものがあった」という宮野。役所も「ここより広いところをオープンセットにして、山を作って雪を飾ってやってたんですよ」と撮影の裏側を明かし、CGが一切分からなかったという沢城に「本当にいいお客さん。ほとんど騙されていましたね(笑)」と笑顔でコメントする。
またエベレストに実際に登ったことがあるという監督に役所が「標高6000mでこんなアクションできるのかと聞いたら、『映画は大丈夫です』と言ってました(笑)」と話し、監督は「自分の家を売って、この映画を作ったという記事が出ていましたけど、本当らしいんですよね」と明かし本作のスケールの大きさをうかがわせた。
最後には、世界中のロケ地に行ったりと一つ一つ作るのには時間がかかるとしつつ、「時間をかけて作るというのは大変だけど、腰を据えて自分の役と向きあうというのは贅沢な時間だった。でもアクション映画はもういいかな(笑)」と茶目っ気たっぷりに締めくくった。
取材・文/富塚 沙羅