神木隆之介&中村倫也の“ホームズ&ワトソン”、可愛さ爆発の浜辺美波が躍動!『屍人荘の殺人』が刺激的
予想の斜め上を行く衝撃的なストーリー展開で、読者の度肝を抜いた今村昌弘の小説「屍人荘の殺人」。デビュー作にして「このミステリーがすごい!2018年版」「週刊文春ミステリーベスト10」「2018本格ミステリ・ベスト10」で第1位を獲得し、「第18回本格ミステリ大賞【小説部門】」を受賞と4冠を達成した話題作が映画化され、12月13日(金)公開となる。ミステリー映画界に新風を巻き起こす一作になりそうな本作の魅力を紐解きたい。
大学のミステリー愛好会に所属する葉村譲と明智恭介は、学内の事件を推理する自称“ホームズ&ワトソン”。ある日、謎の女子大生探偵の剣崎比留子と知り合った2人は、彼女と共に、いわくつきのロックフェス研究会の合宿に参加することになる。合宿先の山奥に佇むペンションに、次々と現れる怪しげなメンバーたち。初日の夜、フェス会場で想像を絶する異常事態に巻き込まれた彼らは、ペンション内の立てこもりを余儀なくされるが、翌朝、メンバーの一人が惨殺死体で発見される…。
「TRICK」スタッフによる、ちょっとゆるめの本格ミステリー
奇想と本格ミステリーが融合した物語のおもしろさを映像化するにあたって、トップクリエイターが集結。メガホンを取ったのは、ドラマ「99.9‐刑事専門弁護士‐」(16・18)や「民王」(15)の木村ひさし監督だ。脚本は「TRICK」や「金田一少年の事件簿」シリーズなどの蒔田光治。木村監督もまた、かつて蒔田と共に「TRICK」を作ってきたディレクターであり、どこか「TRICK」シリーズにも通じる、ちょっとゆるめのコミカルテイストと密室連続殺人事件の本格的な謎解きが融合した、独特の世界観を作り上げた。
神木隆之介に浜辺美波、中村倫也!個性豊かなキャストが集結!
登場人物たちは全員、パンチのあるストーリーに負けないクセモノぞろい。若手からベテランまで、個性豊かなキャスト陣が集結している。ミステリー小説オタクなのに、まったく推理が当たらない気弱な万年助手の葉村役に神木隆之介。美人でお嬢様なのに、なぜか男口調で話す不思議ガールの比留子役に浜辺美波。芝居がかったオーバーな言動が妙に似合うミステリー愛好会会長の明智役に中村倫也。なかでも、振り回されキャラの好青年=神木と、空気の読めない(読まない?)マイペース女子=浜辺は、はまり度バツグンなキャスティング。
プロデューサーが「浜辺美波史上、一番可愛い姿が切り取れているのでは」と太鼓判を押すだけあって、魅力が最大限に引き出されている。一方、近作では「凪のお暇」(19)の優しいモテ男、ゴン役などが記憶に新しい中村倫也が、イメージを一気に覆すアクの強いキャラクターで、強烈なインパクトを残す。「どんなハードな役でも飄々と演じきる中村さんのパーソナリティこそ、明智そのものだと思った」というのがオファー理由だったそう。
映画ならではの遊び心たっぷりなアレンジも髄所に!
原作の本格ミステリーの部分はしっかり踏襲しつつ、脚本の段階で、映像化のための大胆なアレンジを随所に施したことで、スケール感がアップ。また、現場でひらめいたアイデアをどんどん付け足すことで知られる木村監督が、今回も本領を発揮。キャラクターのセリフや、明智の指パッチンのクセ、比留子が謎解きをする際に行う“相撲の土俵入りの型”の決めポーズなど、観ていて楽しい数々の遊びが散りばめられているところも必見だ。
映画ならではの魅力がいっぱいで、原作ファンもフレッシュな気持ちで楽しめる本作。とはいえ、サプライズ感が大きな魅力の一つであることは間違いないので、もしもまだ原作を読んでいないなら…前情報を入れないまま鑑賞して“驚き”をとことん堪能してほしい!
文/石塚圭子