これを観ればより深く楽しめる!『アイリッシュマン』とあわせてチェックしたい作品たち
Netflixにて先週より、ついに配信が開始となった超話題作『アイリッシュマン』。その評価は高く、昨年の『ROMA/ローマ』(18)のようにアカデミー賞の有力候補としても名が挙がっている。そんな本作をより楽しむために、あわせてチェックしたい作品をここでご紹介!
スコセッシ監督×デ・ニーロの黄金コンビを堪能
これまで幾度となく名作を生み出してきたマーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロが実に22年ぶりとなるコンビを組んだ本作。『ミーン・ストリート』(73)で初タッグを組んで以降『タクシードライバー』(76)『レイジング・ブル』(80)『キング・オブ・コメディ』(83)など数々の名作を生み出してきた。
中でも『アイリッシュマン』とあわせてチェックしたいのが『グッドフェローズ』(90)だ。第二次世界大戦後のアメリカの裏社会を舞台に、実在する人物を描いたマフィアものという『アイリッシュマン』とも類似点が多い作品。内容は、アイルランド系の父とシチリア系の母を持つヘンリー(レイ・リオッタ)が若くしてマフィアの一員となり、ジミー(デ・ニーロ)らと共に数々の犯罪に手を染め、成り上がっていく様子を描いていく。
マフィア側の視点からから様々な事件や内部を描く本作にはデ・ニーロの以外にジョー・ペシも出演しており、暴力的で何をしでかすかわからない怖さ満々の演技が印象的。『アイリッシュマン』では静かな凄みを放っているが、『グッドフェローズ』を観ておけば、よりその貫禄を感じることができるだろう。
またスコセッシ×デ・ニーロ×ペシという点では、『カジノ』(95)も外せない。この作品も事実に基づいており、ノミ屋を生業とする男エース(デ・ニーロ)が出世をし、ラスベガスのカジノを任されるようになるが…というモブ・マフィアものだ。エースが任されたカジノが『アイリッシュマン』の題材である全米トラック運転手組合“チームスター”の融資を受けて経営されているという点も、鑑賞すれば相互的により内容を理解できるはず。またこれらの2作品では、一時は大きな勢いに乗っていた男が迎えるどこか哀愁漂う寂しげなラスト…というところにも注目してみてほしい。
パチーノのキレ芸を楽しみたいならこの1本!
『アイリッシュマン』でデ・ニーロ演じるフランクを右腕として信用しているのがジミー・ホッファ。彼の血の気の多さを見事なキレっぷりで体現しているのがアル・パチーノだ。パチーノ×マフィアものといえばデ・ニーロも出演している『ゴッドファーザー』シリーズが思い浮かぶが、ブチギレ芸という点では『スカーフェイス』(83)を推したい。
パチーノ扮するキューバからやってきた若者トニー・モンタナが、コカインの密売で成り上がり自滅していく姿を描いている。周囲との軋轢やコカインにより見境がつかなくなり、逆らうものは皆ぶち殺す状態のトニーの狂犬っぷりを体現したパチーノのカリスマぶりは圧巻。ギャングスタ・ラップのアイコンとしてしばしば歌詞に引用されるなど、大きな影響力を誇るほどの本作、若かりしパチーノと現在のパチーノのキレ方の変わらなさにも驚愕してほしい!
大統領に次ぐ権力を持った!?ジミー・ホッファって誰?
『アイリッシュマン』は、マフィアとトラック運転手組合の蜜月を、随所にケネディ大統領暗殺やキューバ危機という歴史的事件をはさみながら、その関連性を(フィクションとして)描いていく。なので、その背景を知っていたほうがより楽しめるのだ。
なかでもジミー・ホッファは日本人にとってはなじみの薄い人物だが、アメリカでは当時大統領に次いで力を持つ男と言われたほどの権力を握っていた男だ。そんな彼をモデルにしたのが『フィスト』(78)だ。シルヴェスタ・スタローン演じるハンガリー移民のジョニーが、トラック運転手として、労働運動の先頭に立ち、組合のトップに立つまでを描いていく。
またその名も『ホッファ』(92)では、ジャック・ニコルソンがホッファを演じ、組合の結成から最期(あくまで想像で)までが描かれている。『アイリッシュマン』を観る前の予習として観ておくと、ロバート・ケネディとの関係などがわかりやすくなることだろう。
レジェンドたちの集大成的な位置付けの1本となっているだけに、関連作を観たり様々な情報を調べたりして、骨の髄まで味わい尽くしてほしい!
文/トライワークス
発売日:12月25日
価格:5,900円+税
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
■『スカーフェイス』ブルーレイ
発売中
価格:1,886円+税
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
■『グッドフェローズ』4K ULTRA HD
発売中
価格:5,990円+税
発売・販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント