シビアな動物たちの社会から目が離せない!アニメ「BEASTARS ビースターズ」に惹きつけられる理由
2016月から週刊少年チャンピオンにて連載中の「BEASTARS ビースターズ」。擬人化された動物たちが生きる姿を描いた本作は、その独創的な世界観も話題を呼び、数々の漫画賞にも輝く人気作だ。本作を原作にしたテレビアニメ「BEASTARS ビースターズ」が、19年10月からフジテレビ系「+Ultra」枠で放送、Netflixで独占配信され、世界中のアニメファンを熱狂させている。そんないま注目の本作の魅力を紹介したい。
動物ならではのタブーと悲哀が生む世界観
生態やサイズ感が現実のままの動物たちが人間と同じような社会を形成し、肉食獣と草食獣が共存する世界。二本足で立ち、服を着て、学校や会社へ通い、テーブルを囲んで食事をするなど、一見すると過去のアニメーション作品に似たファンタジーな世界が広がる。しかし、動物たちのシビア過ぎる食生活にも言及され、当然ながら肉食はタブーで、その影響から肉食獣たちは肩身の狭い思いをしながら生活している。
物語の舞台となるのは、全寮制の中高一貫のエリート学校・チェリートン学園。アルパカのテムが肉食獣の何者かに食い殺される「食殺事件」が発生し、学園内の肉食獣と草食獣との間に確執のようなものが生まれるところから物語は始まる。本能と理性に振り回される動物たちの心。「肉食」と「草食」という種の間にある隔絶した壁や差別。それらが生む生々しいスクールカーストといった要素が、思わず共感してしまうリアルなドラマを生み出していく。
「恋」か「食欲」か…動物たちの青春群像劇にハラハラドキドキ
主人公は学園の生徒で雄のハイイロオオカミ、レゴシ。大きな身体と鋭い牙を持つ彼だが、演劇部の美術係として静かな学園生活を送っていた。そんなある日、ドワーフ種の雌ウサギ・ハルを襲いかけ、レゴシの中にかつてない感情…ハルを求める本能が生まれる。それは「恋」なのか、肉食獣としての「本能」なのか。レゴシの葛藤が中心となって物語は展開される。
レゴシが出会ったハルは小さく愛らしい見た目だが、さっぱりした性格の持ち主。学内で様々な男子生徒と後腐れなく関係を持っているため、女子生徒からいじめられるなど孤立した存在だ。レゴシとは友人関係を築いていくことになるが、そこにもやはり肉食獣と草食獣という壁があり、観ていてやきもきさせられる。
レゴシはハルのことを想うことになるが、ハルにもまた想い人が。それがレゴシの所属する演劇部の花形役者で学園のカリスマ的存在である、雄アカシカのルイ。動物界の英雄的存在“ビースター”の時期候補とも噂されている。他人にも自分にも厳しい彼が、レゴシと関わることで少しずつ変わっていく姿。そしてレゴシとハル、ルイ3匹の関係性が、動物ならではの視点を交えながら揺れ動く様子に、視聴者は引き込まれていく。
ハイクオリティな3DCGが生む圧巻の映像美
本作の魅力はそれだけではない。原作のイラストを踏襲しつつ、手描きよりも滑らかでリアルな動きを追求したハイクオリティな3DCGの映像も、視聴者を惹きつけるポイントとなっている。
本作の制作を担当しているのは、17年に放送されたテレビアニメ「宝石の国」でその美しすぎる世界観を表現し、世界中にその名をとどろかせたアニメスタジオ「オレンジ」。動物たちのモフモフした毛並みや質感を再現したグラフィック、生き生きとしたモーションなど、3DCGとは思えない映像にアニメーションの新たな可能性を感じずにはいられない。
レゴシとハルの一筋縄ではいかない友情と恋。そして肉食獣と草食獣の、本能と理性から生まれる複雑な関係性の行方。12月に入りアニメはいよいよ佳境に。まだ本作を観ていない人はNetflixでも振り返りができるので、この機会にチェックしてみてほしい。
文/リワークス(加藤雄斗)
フジテレビ「+Ultra」 毎週水曜24時55分~
関西テレビ 毎週木曜25:55~
ほかにて放送中
Netflixにて毎週木曜配信
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