深キョンら登壇の試写会で武田鉄矢が金八先生の名言を披露
日本初の長編3Dアニメ映画『豆富小僧』(4月29日公開)の完成披露試写会が、4月14日に有楽町の丸の内ピカデリー3で開催された。深田恭子、武田鉄矢、小池徹平、平野綾、はるな愛、檀れい、松平健ら豪華ボイスキャスト陣と、原作者の京極夏彦、河原真明監督、杉井ギサブロー総監督が登壇。ゲスト陣は東日本大震災で大変な状態にある今だからこそ、ファンタジーから力をもらってほしいと訴えかけた。
本作の原作は京極夏彦の小説「豆腐小僧双六道中ふりだし」。時は江戸時代、弱虫な妖怪・豆富小僧(深田恭子)が、目付役の達磨(武田鉄矢)と共に、長年の敵・狸によってお堂に閉じ込められる。時を経て、外に出ることに成功した彼らだったが、そこは見たこともない高層ビルが建ち並ぶ現代の日本だった!
豆富小僧役の深田は、「豆富ちゃんは本当に可愛くて、私にとって愛しい存在です」と笑顔で語った。豆富小僧の父親・見越し入道役の松平は「がんこ親父で怒鳴ってばかりですが、子供が可愛いゆえに旅をさせるという親です。いつも見守っているけど、困った時は助ける、そんな姿勢でいたいなと」と、父親らしい言葉を口にした。
その後、原作者の京極夏彦は、東日本大震災に絡んだコメントを語った。「妖怪は不思議なこと、不可解なこと、人間ではどうしようもないことを笑い飛ばすためにできあがったんです。辛い時とか悲しい時に役に立つのは笑顔だと思う」。また、被災地へ炊き出しに行ったというはるな愛は、「被災地ではものがない状態の中、みんなで生きていこうという会話があり、手と手をとり合って立ち上がっていました。東京へ帰って来て、すごく便利だけど、会話とか譲り合いを忘れている人たちがいて、温度差を感じました。映画では、忘れていたものや必要なものがいっぱい詰まっています。日本が一つの家族になって立ち上がっていってほしい」と訴えかけた。
また、復興支援活動をしている武田のコメントも熱かった。「今、一杯の水やご飯に苦しんでる人がいるのは事実。でも、今こそ、必要なことをここから探しましょう。毎度、テレビで放送される科学の言葉、言っている意味がわからないです。今、一番必要なことはファンタジーの中にある。お伽話から流れてくる前向きな言葉が一番役に立つのではないかと」と語り、最後に金八先生の名セリフを贈った。「世界全体が幸せにならないうちは、一個人の幸せはありえない」。
深田も最後に「豆富ちゃんは、今、自分にできることは何なのか、自分にしかできないことは何なのかを必死に考えながら勇気ある行動に出ます。この映画が、皆さんにいろんなことを思うきっかけになれたらと」と真摯な表情で語りかけ、舞台挨拶を締めくくった。確かに『豆富小僧』は、見た後、生きるうえでの大切なメッセージがぐっと胸に迫る感動作だ。今こそ、家族で見て、ファンタジーから勇気とパワーをもらってほしいものだ。【取材・文/山崎伸子】