蒼井優、高橋一生の演技を「無敵」と絶賛!初共演となったデビュー作でのエピソードも告白
『百万円と苦虫女』(08) や『ふがいない僕は空を見た』(13)で知られるタナダユキ監督が、2009年に発表した自身初のオリジナル小説を自ら脚本と監督を務めて映画化した『ロマンスドール』(2020年1月24日公開)の完成披露試写会が18日、新宿バルト9にて開催。上映前に行われた舞台挨拶に、主演を務めた高橋一生とヒロインを務めた蒼井優、そして三浦透子ときたろう、タナダ監督が登壇した。
本作は自分がラブドール職人であることを隠している男と、彼が一目で恋に落ちて結婚した妻との10年間を描いた大人のラブストーリー。美人で気立ての良い妻・園子と幸せな日常を送りながら、ラブドール職人であることを隠し続ける哲雄は、仕事にのめり込んでいくうちに園子とセックスレスになり、やがて夫婦の危機が訪れる。そんななか、園子は胸に抱えていたある秘密を打ち明けるのだが…。
蒼井の映画デビュー作となった『リリイ・シュシュのすべて』(01)以来、18年ぶりに映画で共演した高橋と蒼井。「ずっとご一緒したいと思っていたので、まさか夫婦になっていく関係でご一緒できるなんて」と喜びを語る高橋は「『リリイ・シュシュ』で初めてお会いした時、蒼井さんはまだ14歳。僕はもう20歳を過ぎていたので、現場で遊ぶとなっても遊び方が違いました」と初共演の思い出を振り返る。
すると「市原(隼人)くんとカエル捕まえてました(笑)。2匹捕まえてリリイとシュシュって名付けてましたね」と当時のエピソードを明かす蒼井は「初めての現場で、なにも知らない状態を一生さんは見ていらっしゃるので、私のなかではずっと地元の知り合いみたいな感覚で勝手に親近感を持っていました」と告白。「今回も現場で当時のように“一生くん”って呼んでいたんですが、途中で先輩だと気が付いて、恐る恐る“一生くん”と呼ばせてもらっていました」とはにかんだ表情。
そして「お芝居をさせていただくときに、よく『会話はキャッチボールだから』と演出家の方に言われたりすることがありますが、蒼井さんとのお芝居はまるでジャグリングのようでした」と振り返る高橋に、蒼井も「高橋さんは心でお芝居されるところと技術で持っていくところの両方を使って、理想としているところに確実にたどり着ける人で、無敵だと思いました」と、互いの演技を称え合った。
また、そんな2人との撮影を「とっても楽しかった」と笑顔で語るタナダ監督は、自身の書いた小説を映画化するにあたって「小説と映画は違うので、映画として作り直す気持ちでいました」と明かす。さらに「自分が原作を書いて脚本も書いていたときに、足りなかったことをキャストのみなさんやスタッフさんの色んなアイデアでより豊かなものにしてもらえた。それがすごくおもしろくてありがたくて、みんなで作った感覚です」と自信をのぞかせていた。
最後にマイクをとった高橋は「この作品は秘密や嘘が大きくフィーチャーされていますが、僕にとっては『失ってしまってもう二度と戻ってこないものに対して、どう折り合いを付けながら生きていくか』ということがテーマになっていると思っています。それでも日常はつづいていくという絶望と、ほんのひとつの希望に、みなさんが自分の人生と照らし合わせて、前になかなか進めなくてもなんとなく進んでみるかと思える力になればいいなと思っています」と、本作に込めた強い想いを熱弁した。
取材・文/久保田 和馬