第10回トライベッカ映画祭、各部門の受賞作発表!
10周年を迎えたトライベッカ映画祭は、“多様性”と”新しい才能の発掘”という精神にのっとり、40ヶ国から集まった長編93作品(うち新人監督が60人)、短編60作品が出展され、400作品もの上映が行われた。アートの街に住むニューヨーカーたちを中心に、無名監督の掘り出し物を楽しもうと、チケットが売り切れる作品も続出し、ラッシュチケット(当日券)を得るために劇場前に何時間も前から列を作る人々の姿も見られる大盛況ぶり。劇場平均占有率は95%と、どの作品もほぼ満席状態で、11万5千人が映画祭での上映を楽しんだ。
キーラ・ナイトレイやサム・ワーシントン、エバ・メンデスら主演の『The Last Night』などの特招待作品以外は、今年も、通常では知名度や予算の関係などから日の目を見ないような、いじめ、同性愛、精子ドナー、ハイジャック、人種、環境問題などの様々な社会問題を取り上げた作品が多かった。
実は、東日本大震災の影響で惨事に発展している福島第一原発事故を受け、秋公開予定を急遽繰り上げ、現在上映されて大盛況となっているフィンランドの原発問題に迫ったドキュメンタリー映画『100,000年後の安全』も、昨年同映画祭に出展されたものだ。今回は悲しい出来事で注目が集まってしまったが、まさかこんな形で多くの人々の目に触れることになるとは、誰も予想がつかなかったことで、まさに同映画祭の醍醐味と言えよう。
5000作品以上の候補の中から選ばれた約153作の秀作の中から選ばれたのは、以下の通り。
●ワールド・コンペティション
<長編>
最優秀作品賞 『She Monkeys』
最優秀主演男優賞 ラマダン・シャミ・ビジマナ(『Grey Matterg』)
最優秀主演女優賞 カリス・ファン・ハウテン(『Black Butterflies』)
最優秀撮影賞 ルイーザ・テリンガー(『Artificial Paradises』)
最優秀脚本賞 ジャニーク シスタッド・ジャボセン(『Turn Me On, Goddammit』)
最優秀新人監督賞 パーク・ジャングム(『ournals of Musan』)
<ドキュメンタリー>
最優秀作品賞 『Bombay Beach』
最優秀編集賞 パーセル・カーソン(『Semper Fi: Always Faithful』)
最優秀新人監督賞 パブロ・クロース(『 Like Water』)
審査員特別賞 『Give Up Tomorrow』
●ショート・フィルム・コンペティション
最優秀作品賞 『Man and Boy』
審査員特別賞(短編) 『The Terms』
最優秀ドキュメンタリー賞 『Incident in New Baghdad』
審査員特別賞(短編ドキュメンタリー) 『Guru』
スチューデント・ビジョナリー賞 『Rooms』
●オンライン部門
最優秀作品賞 『Donor Unknown』
ショートフィルム最優秀作品賞 『Dungeon Master』
映画鑑賞や各種イベント参加者などの12日間の入場者は昨年の41万人から43万人に増加し、地域に根づいた映画祭として発展を続けているトライベッカ映画祭。閉幕日の5月1日夜、9.11のテロリストの首謀者といわれていたウサマ・ビン・ラーデンが殺害されたニュースが伝えられ、アメリカがテロとの戦いでターニングポイントを迎えたように、来年のトライベッカ映画祭も新たなスタートの始まりを迎える。【NY在住/JUNKO】