松本人志監督「ギャラなしで済む」素人・野見隆明の『さや侍』主演抜擢理由を暴露
『大日本人』(07)、『しんぼる』(09)の松本人志監督作品第3弾となり、オリジナル時代劇となる『さや侍』(6月11日公開)の完成披露試写会が5月7日、大阪ステーションシティシネマで行われ、出演者の板尾創路、野見隆明、熊田聖亜と、松本監督が出席した。
本作の構成などで意識したことを、松本監督は「『笑って泣けて』という映画の宣伝を耳にするが、本当にそういう映画は少ないのでは。そんななか、笑いも涙もあるハイブリッドな映画を作ってみたいと思いました」と語った。殺人的なスケジュールのなか、時代劇に挑戦した松本監督は「できることなら二度とやりたくないなという気持ち。『今すぐ撮りたい!』という時も、ヅラ直しなどで時間がかかったり」と思わぬハプニングに困り果てたそうだ。撮影を振り返り、板尾は「カツラが蒸れてかゆかったので、コーヒーを混ぜるプラスチックのマドラーを差し込んでかいていたら、それが突然折れて出てこなくなったまま本番に」と裏話を暴露。
松本監督は自身の映画への思いを「棺桶に持って行くものをなるべくたくさん作りたい。『さや侍』はそれに値するものになったと思う。20代、30代の頃に照れくさくてできなかった、自分の正直な思いみたいなものを、今回は(自分が出演せずに)人を使うことで表現できたかな」と明かし、実生活でも2009年に第一子となる長女が誕生しただけに、「映画に出てくるたえというのは、僕の中の理想の娘ではある。自分の父親としてのものが作品に出てきたのかなあ」と自己分析した。素人の野見を抜擢した理由としては、「まずはギャラがなしで済むというのがあったのと(笑)、完全な素人さんなので、うまくいかなかった時、あいつのせいだと言うことができますし」と、冗談まじりでコメント。素人ながら主演を務めた野見は、「一番大変だったのはふすま割りで、なかなか割れなくて本当に苦労しました。でも頑張って頑張って、どんどん割っていきましたよ」と苦労した点を挙げると、松本監督からは「この人、言われたことは本当に真面目にやるんですよ。ひざをすりむきながら一生懸命やってる姿を見て、ほんの一瞬、格好良く見えました」とほめ言葉も飛び出した。板尾や野見との共演について、熊田は「すごく仲良くしてもらったし、よく休み時間にも遊んでもらった。ただ、野見さんと一番最初にお芝居をしたのがカメラテストの時で、その時にすごく絡み辛くて(笑)、撮影がどうなるか、実はちょっと不安になっていました」と、思わぬ本音をもらした。
監督作品3作目となった本作について、松本監督は「僕がこれまで作ってきたものとはちょっと違う作品になっていると思います。後半、わりとマジで作ってしまいました」と、自信を持ってアピールした。【Movie Walker】