西田敏行激白!東北ロケの『星守る犬』で「エキストラの方も亡くなった」

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西田敏行激白!東北ロケの『星守る犬』で「エキストラの方も亡くなった」

ダ・ヴィンチの「泣ける本ランキング」で第1位となった村上たかしの感動コミックを映画化した『星守る犬』(6月11日公開)。その完成披露記者会見が5月9日、東京国際フォーラムで開催。主演の西田敏行、玉山鉄二、川島海荷、中村獅童、岸本加世子、藤竜也、瀧本智行監督、原作者の村上たかしが登壇した。

『星守る犬』は、おとうさん(西田敏行)と秋田犬ハッピーが、東京から福島、宮城、岩手、青森、北海道へと旅を続けるロードムービーだ。そして彼らの足取りを、市役所福祉課に勤める奥津京介(玉山鉄二)と、道中で出会った少女・川村有希(川島海荷)のふたりがたどっていく。

主人公・おとうさん役の西田敏行は、「この原作を映画化したいという熱い思いが実を結んで、素晴らしい作品になりました」と、感慨深い表情で挨拶した。本作の舞台には、東日本大震災が起こる前の美しい東北の景色も登場する。瀧本監督は「みんなと旅した記憶がまざまざとよみがえってきます」と語った。原作者の村上は「まさか泣くことはないと思っていましたが、気がつけばびっくりするほど号泣していました」と映画の仕上がりに太鼓判を押す。

ロケ地が東北なのはもちろん、福島県出身でもある西田は、大震災のちょうど3ヶ月後の公開となる本作に対する思いもひとしおだ。「図らずも、大震災前の東北の太平洋側のロード、津波を受ける前の映像を記録することになってしまいました。ハッピーと泳ぐ海岸も子供時代に行った場所だし。いわきの永崎海岸がいつになったら、また子供たちの歓声が聞こえるようになるのかと思うと、切ない気持ちでいっぱいです」。

奥津役の玉山は、東松島での旅館での景色が思い出に残っているとロケを振り返った。「海や岩山、漁する船が見えて、居心地が良い旅館。皆さんの手助けがなかったら、この映画はここまで良くできていなかったと思います。感謝しているし、できる限り多くの方に見てほしい」。少女・有希役の川島も「いわき市でオフの日を過ごしました。その場所が大変な状況になっているので、すごく悲しい気持ちでいっぱいです」と語った。

本作に登場するエキストラの方も被災して亡くなられたことが西田の口から告げられた。そして彼はこう続けた。「被災者は歯を食いしばって頑張ってらっしゃいます。家族の間では涙を見せないおとうさんもいると思いますが、この映画を見て、泣いたらどうですか?と提案したいです。泣くと気持ちが浄化されると思いますので」。

最後に西田はこう語った。「大震災前までは、無縁死やご老人の孤独死、人と人との絆の希薄さなど閉塞感を感じていましたが、震災以降、気持ちが一つと思えるようになったのも事実。戦争を知らない人間が見ると、大きな爆弾が一発落ちてしまったのかと思うほど悲惨な状況を目の当たりにしました。今、その失っていたものを取り戻そうとしてる自分もいるなと感じています」。

リストラや熟年離婚、無縁死など、今の世相を映し出した展開が身につまされる本作。でも、お父さんたち人間と犬たちとの交流は、切ないながらも、何か心に温かいものを与えてくれる。そして、映画を見終わった後、劇中を彩るヒマワリ畑がきっと見る者に希望を与えてくれるに違いない。【取材・文/山崎伸子】

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