仲村みう「こんなクレイジーな富江は過去にいない!」

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仲村みう「こんなクレイジーな富江は過去にいない!」

伊藤潤二の人気ホラーコミックを映画化したシリーズ8作目『富江 アンリミテッド』。5月14日(土)の公開に先駆け、先行お化け屋敷上映会が開催された。井口昇監督が発案したというこの上映会には、上映中で真っ暗な劇場内に“お化け”が走り回ったり、客席に突如水がまかれたりなど、趣向を凝らした内容となり、観客たちを楽しませた。上映後には、出演の荒井萌、仲村みう、多田愛佳が井口監督と共に舞台挨拶を行った。登壇中には、キャストを驚かせるサプライズがあり、荒井が恐怖で涙を浮かべる一幕もあった。

高校生の月子(荒井萌)は、友人の佳恵(多田愛佳)と帰宅中、姉の富江(仲村みう)と会う。そのと時、突然、建設中のビルから鉄骨が落下。鉄骨は富江の身体に直撃し、月子の目前で富江は息絶えていく。その一年後、富江の誕生日にケーキを囲む両親と月子の前に、死んだはずの富江が現れる。戸惑いを隠せない月子に、様々な形で富江が迫る。

メガホンをとった井口監督は、『片腕マシンガール』などで海外でも高い評価を受けている鬼才。もともと原作者である伊藤潤二のファンだったと話す。「4年前に一度お話をいただいた時は実現できなかったので、今回はどうしても受けようと思いました。シリーズが8本もあるので、首のない富江が廊下で走ってこけるとか、ゴミ箱から首が出てくるとか、これまで映像化されていなかった部分をやりたかった。弁当箱の富江は、僕のオリジナルですけど(笑)。自分の夢を実現しました」と作品に込めた思いを語った。

死んだはずの姉・富江の存在に苦しめられる月子を演じた荒井は、「ホラーがすごく苦手ですごく緊張したし、現場がどんな感じなんだろうと思っていましたが、現場の雰囲気は楽しくて、監督とスタッフさん、すごくたくさんの方に支えられました。叫ぶシーンや恐怖で逃げるシーンが何度もありましたが、毎回同じ叫びにならないように監督と相談しながらパターンを作って演じました」と撮影を振り返った。

仲村みう演じる富江は、シリーズの中でも最も原作の富江のイメージに近いと話題を呼んでいる。「最初、監督とお会いした時に『そのホクロは書いてきたんですか?』と聞かれたんです。何言ってるんだろう?と思いました」と話すのは、仲村の左目の下にあるホクロのこと。その位置は、偶然にも原作の富江と同じだ。「監督から『すごく良い位置にある』と言われたので頑張るしかないなと思いました。過去のシリーズも見ましたが、その後、台本を読んだら、『こんなクレイジーな富江は過去ない』と思いました。それから原作を読んで、こっちに近いんだと思って、笑い方や色気がある仕草はそっち寄りに力を入れました。普通の人がやらないようなポーズにも挑戦しました」と役作りの苦労を語った。

月子の友人の佳恵を演じた多田愛佳は、「ホラーを見ると(怖くて)お風呂に入れなくなっちゃうんですけど、怖いだけじゃなくて面白い井口監督の映画で女優デビューできたことが嬉しいです。何度も見てもらって、笑って怖がってもらいたい」とコメント。監督は「怖がってほしいけど、笑えるって複雑ですね」と苦笑い。「ギャップみたいな感じを楽しんでほしいです」と作品をアピールした。

そして、ホラー映画にはつきもの(?)の体験を監督が披露。「結構、マジな話なんですけど、撮影を終えて編集中に気付いたことなんですけど、前半、富江が刺し殺されるシーンで『30、31、32、33』とカウントする声がするんです。もともと撮影した素材には入ってないし、効果音でもない。中年の男性の声が入ってるんです。それは」と話の途中、突然会場の明かりが消え、真っ暗な中で「本当にイヤです!」「キャー!」と登壇者の叫び声が響きわたった。明かりが付くと、ステージには何人もの富江が出現。その様子に一番驚いたのは荒井で、恐怖で涙を浮かべていた。実はキャストを驚かすドッキリ。「電気が消えた瞬間、両端(荒井と多田)からつかまれたことが一番怖かった」とコメント。キャストも驚く充実したイベントとなった。

残酷かつ奇怪な世界を描く『富江 アンリミテッド』。監督が語った正体のわからない男性の声にも注意して本作を楽しんでほしい。【取材・文/鈴木菜保美】

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