【今週の☆☆☆】ダニエル・クレイグが難事件に挑む『ナイブズ・アウト』や野心的な近未来サスペンス『AI崩壊』など週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、1月31日(金)から今週末の公開作品をピックアップ。ダニエル・クレイグ、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマスら豪華キャストが共演したミステリーや、アニメ好きの心をくすぐる夢にあふれたお仕事ムービー、入江悠監督がオリジナル脚本で挑んだ最新作など、バラエティあふれる作品ばかり!
探偵ダニエル・クレイグがクセ者容疑者たちと対峙する『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(1月31日公開)
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(17)のライアン・ジョンソン監督がアガサ・クリスティにオマージュを捧げるミステリー映画を撮った。そう聞くと意外かもしれないが、実はこの監督は青春映画とハードボイルド・ミステリーを合体させた2005年の『BRICK ブリック』でデビューしており、いわば原点回帰の一作と言える。しかも名声を確立した本作では豪華キャストと凝った装飾を惜しみなく配し、古めかしい洋館で起こった殺人事件を巡る人間模様を映像化。名優、怪優、人気スターがひとクセもふたクセもある容疑者たちに扮し、『007』の現役ジェームズ・ボンド、ダニエル・クレイグがクールな探偵を演じる。スリルとユーモアをハイテンションで連打するジョンソン監督の語り口も冴え渡り、濃厚なまでに極上のエンターテインメントに仕上がっている。(映画ライター・高橋諭治)
AIが人の生きる価値を選別!?リアルな近未来が舞台のサスペンス『AI崩壊』(1月31日公開)
年齢、年収、病歴、犯罪歴など日本の全国民の個人情報と健康をすべて管理する医療AI(人工知能)が突如暴走!生きる価値のない人間を選別し、殺戮を始める!『22年目の告白―私が殺人犯です―』(17)の入江悠監督の最新作『AI崩壊』は、いまから10年後の2030年を舞台に、そんな現在と地続きの、実際に起こり得るリアルな恐怖を描いているところがスゴい。
しかも、その恐怖をリアルに伝えることを徹底。防犯、医療、交通などAIがすでに導入されている様々な世界の未来図を綿密なリサーチを重ねて映像化し、それが国民全員を襲う恐怖であるということに日本全土でロケをする壮大なスケールで描くことで説得力を持たせている。
それでいて、映画は大沢たかおが演じるAI開発者の科学者が、AIを暴走させた犯人として追われる逃亡劇のスタイルがとられていて、アクションも満載だし、誰が本当は暴走させたのか?に迫る謎解きミステリーの要素も。ハラハラドキドキしながら、自分たちの未来に想いを馳せることができる極上のエンターテインメントなのだ。(映画ライター・イソガイマサト)
大人たちがファンタジーの世界をガチで検証!『前田建設ファンタジー営業部』(1月31日公開)
“「マジンガーZ」の地下格納庫をいま作るとどうなるか”を、本気でとことん検証した、実在の会社のWEBコンテンツにまつわる話を映画化。一銭の儲けにもならないことに奔走する、これが実話とは驚嘆!しかも検証を映画化とは地味そうだが、それを逆手に取った脚本&演出が効いている。言い出しっぺの広報グループ長から、いやいや参加しながら本気になっていく部員たち、批判的な別部署の人たちに、技術提供に応じる別会社の技術部門の人たちまで、みなキャラが上手く立っているうえ、しだいに変化し夢中になっていく姿がユーモラスで、観る側もだんだんと本気モードに。その道のヲタク的知識と情熱を持つ人々がもたらす熱い感動もあり!俳優陣のチームワークも抜群。好きこそものの上手なれ、ならぬ、“好きに真っ直ぐになれば大人もこんなに幸せ”を味わわせてくれる、ユニークな良作だ。(映画ライター・折田千鶴子)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス