【今週の☆☆☆】ジェニファー・ロペスがストリッパーを演じる『ハスラーズ』や、心霊スポットが舞台の『犬鳴村』など週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、2月7日から今週末の公開作品をピックアップ。リーマンショック後のニューヨークが舞台の実話をベースに描くドラマや、プロレスラーを夢見るダウン症の少年の冒険物語、都市伝説をもとにした三吉彩花主演のJホラーなど、バラエティあふれる作品ばかり!
ヒロインたちの熱い友情や結束に、感情を鷲づかみにされる!『ハスラーズ』(公開中)
リーマンショック後のNYで、生活に困ったストリッパーたちが、金持ち男を引っかけて危険な犯罪に走る!そんな実話に基づく、このクライム・ストーリーは、主要登場人物が女性のみ。しかし、タッチは徹底して硬派だ。生活苦を見つめる視線は、とにかくリアルで、貧困もシングルマザーの苦労もダイレクトに伝わってくる。一方で、彼女たちの友情や結束もアツく、感情を鷲づかみにされること必至。ジェニファー・ロペス扮する、リーダー格の世慣れたストリッパーの肝っ玉キャラも頼もしい。格差社会が深刻化する現代を浮き彫りにしながら、己の流儀で生き延びようとするヒロインたち。これはシリアスなドラマにして、スリリングなエンタメ映画だ。(映画ライター・有馬楽)
どこか異世界のような景色が不思議なリアリティをもたらす『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』(公開中)
主演スターは知名度からシャイア・ラブーフのように見えてしまうが、ダウン症の新人俳優ザック・ゴッツァーゲン扮する施設から脱走する少年“ザック”と完全にW主演状態。難しいのはつい「ダウン症なのにこんなに演技ができるなんて!」と考えてしまう落とし穴があること。断っておくがザック・ゴッツァーゲンは、主人公“ザック”役にぴったりな最高の役者であり、それ以上でも以下でもない。その“ザック”はプロレスラーを夢見て、旅の道連れになった青年と一緒に大ファンだったレスラーのレスリング教室を目指す。どこか異世界のような湿地帯の景色がファンタジー感を醸し、この物語に不思議なリアリティを与えてくれている。ファンタジーとリアリティ、矛盾しているようだが、どうかその目で確かめていただきたい。(映画ライター・村山章)
都市伝説と日本独特の因習の物語をプラスした、容赦なき恐怖世界…『犬鳴村』(公開中)
廃トンネルの向こう側に存在し、そこに立ち入った者は戻ってこないという都市伝説“犬鳴村”。清水崇監督の最新作は、九州の実在する心霊スポットを題材にした衝撃作だ。投稿動画の撮影のため兄とその恋人が犬鳴村を訪れたのを機に、臨床心理士・森田奏の周囲では次々に陰惨な事件が巻き起こる…。都市伝説と親和性の高いJホラーだが、本作は日常と地続きのリアルな恐怖に、呪われた血筋や差別など日本独特の因習の物語をプラス。犬神(犬憑き)の恐怖を描いた70年代のカルトな怪作『犬神の悪霊(たたり)』(77)のエッセンスまで投入し、容赦なき恐怖世界を展開する。忌まわしいドラマを盛り上げる高嶋政伸や高島礼子、寺田農といった大物たちの存在感もマル。最凶の名にふさわしいヘビーな一本だ。(映画ライター・神武団四郎)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス