高良健吾&鈴木杏が中上健次に完成を報告「守られている気がして心強かった」
壮絶な純愛を描いた中上健次の長編作品を映画化した『軽蔑』(6月4日公開)のプレミア上映が5月29日、原作者・中上の故郷であり、本作のロケ地となった和歌山県新宮市にある新宮市民会館で行われ、出演者の高良健吾、鈴木杏、渕上泰史と、廣木隆一監督が登壇した。
上映の際の舞台挨拶前にはそろって新宮図書館の中上健次資料室を訪れた。中上健次に対して、高良は「『ありがとうございます』と言いたいのと、『(自分が演じた)カズは大丈夫でしたか?』と聞きたいです。撮影中、どうして良いかわからなかった時は、いつも助けてもらっていました」と話し、鈴木は「撮影中も、中上さんのお墓が近くにあるせいか、守られている気がして心強かったです」と感謝を述べた。新宮に戻った気持ちを、高良は「久しぶりに戻って来られて、とても嬉しいです。いつもは、ロケ地に戻っても思いが込み上げることはないけれど、今回は胸が締め付けられる思いです」と心境を語った。新宮の街についても、鈴木が「自分の中でいつも不思議なタイミングでこの街にやってくる気がするので、今回も撮影をしたところを歩いていると、忘れていた感情がよみがえってきました」と話すと、高良は鈴木のコメントに同意し、「まだ自分にも杏ちゃんの中にも、カズと真知子が残っているんだと思いました。苦しいような切ないような感情が込み上げてきました」と感慨深い表情をのぞかせた。
その後、行われた舞台挨拶では、集まった観客へ廣木監督が「撮影に協力してくれた方もこの会場にいらっしゃると思いますが、その方々のおかげで新宮のいろんな風景が撮れました。ありがとうございます」と感謝を述べ、新宮市出身の渕上はデビューのきっかけとなった本作に「新宮出身の中上健次さんの作品に出られて、両親が『軽蔑のチケットを売ったぜ』と言ってくれて嬉しかったです!」と初々しい姿を見せた。劇中で披露している新宮弁を渕上から教わった高良は「至らないところがあったと思うけど、目をつむって見てください」と呼び掛け、新宮のおいしかった食べ物を鈴木は「渕上くんの実家のキッチントムトムのパンがおいしかったです。毎日食べてもすごくおいしかったです」と絶賛した。【Movie Walker】