社会奉仕がモットーの弱小ヤクザが倒産寸前に陥った私立高校や出版社、病院などの経営再建を試みる、今野敏の人気小説シリーズを映画化した『任侠学園』(19)のBlu-ray&DVDが現在発売中。ヤクザ映画と聞くと、登場人物が“全員悪人”な作品を想像してしまうが、本作に登場するヤクザの面々は真面目で人情味溢れる、まさに“全員善人”。それゆえに彼らはちょっと世間とズレていて、なんともチャーミングなのだ!
ボランティア精神たっぷりで社会貢献に目がない人情派ヤクザ「阿岐本組」の組長(西田敏行)は、義理と人情に厚すぎるあまり、経営不振に陥った高校の建て直しを引き受けることに。阿岐本組ナンバー2の日村(西島秀俊)と子分たちが学園を訪れると、彼らを待ち受けていたのは無気力・無関心なイマドキの高校生と、事なかれ主義の教師たちだった…。
派手な柄シャツにオールバック、グラサン、金髪、荒れた言葉遣い…などなど、一見すると“ザ・ヤクザ”な貫禄が漂っている阿岐本組の面々。しかし、阿岐本組は“カタギに手を出さず”、“勝負は正々堂々”、“出されたものは残さず食う”という微笑ましい三カ条を掲げる、とにかく愚直でイイ人たちだ。
商店街の人たちとは律儀に挨拶を交わし、笑顔で会話する良好な関係で、困っている人からは無理やりトラブルの解決をお願いされることもあるなど、ややナメられ気味だが地元に愛されている彼ら。今回の舞台となる高校でも、殺風景な校庭に花を植えたり、何者かに割られた窓ガラスをいの一番に片付けたりと超献身的な姿は、おのずと周囲の人間を変えてしまう力がある。見た目とのギャップがありまくる姿に誰もが心を鷲掴みにされてしまう。
そんな阿岐本組のなかでも、周りを引っ張る立場の日村は不器用で、世間との感覚のズレっぷりもピカイチ。生徒たちに怖がられるのを気にして、鏡を見ながら笑顔の練習をしたり(結局「キモい」と言われてしまうが…)、窓ガラス事件について教師たちと話している時には「やるなら先生の前でやるのが醍醐味でしょ」と口を滑らせたりと、どこか天然。“落とし前”の意味がわからない生徒たちに「Vシネ観てねえのかよ!」とムキになったり(もちろん“Vシネ”も伝わらず…)、「ググる」の意味を知らず勘違いを連発したり…と、かわいらしさ満載。そんな反面、「自分の言葉なんて誰も信じない」と自分も世間も諦めている不良少女には「人様が信じるかどうかじゃねえ。自分で自分を蔑むのはやめろ」とアツい言葉をかける“アニキっぷり”には胸が熱くなる。
生徒たちだけでなく、観ている側も魅了するされてしまうような善良なキャラクターで、時に笑わせ、時にグッと感動させてくれる阿岐本組の面々。思わずほっこりしてしまうその人柄に、ぜひ触れてみてほしい!
文/トライワークス
■映画『任侠学園』Blu-ray&DVD発売中
〔Blu-ray収録内容〕
本編ディスク(Blu-ray):
本編+特報・予告編・TVスポット
特典ディスク(DVD):
メイキング、イベント映像(完成披露舞台挨拶・大ヒット祈願イベント・初日舞台挨拶)、予告編 噺家ver.(30秒/60秒)、“世直し”マナー講座
〔封入特典〕特製ステッカー
〔他、仕様〕スリーブケース付属
〔DVD収録内容〕
本編+特報・予告編・TVスポット