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リュック・ベッソン、フランス映画祭で来日。自国の原発を危惧

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リュック・ベッソン、フランス映画祭で来日。自国の原発を危惧

有楽町朝日ホールとTOHOシネマズ日劇で6月23日(木)から26日(日)までの日程で開催される第19回フランス映画祭で、フランス映画祭団長を務めるリュック・ベッソンを筆頭に多数のゲストが来日を果たした。6月23日、記者会見とオープニングセレモニーが開催され、ベッソンは「30年くらいおつきあいのある日本人に対しての友情、支援の気持ちを表したくて来日しました」と語り、最新監督作『アーサー3(仮)』をアピール。また自国の原発事情を案じる心の内も語った。

ベッソンは「『アーサー3(仮)』は12歳以上の人々は見てはいけないと禁止されている作品なので、子供たちの許可を得て入場してください(笑)」と茶目っ気たっぷりにコメント。「でも、大人が見ても楽しい作品です。エコロジーが大切なテーマだから、これから私たちの地球を引き継ぐ子供たちに楽しいメッセージを与えたい。自分の人生の10年間を費やしたシリーズ作品だが、とても楽しく作ってきました」。

また、会見でベッソンは、原子力エネルギー大国である自国フランスの原発への懸念も口にした。「日本は今回の大震災で、素晴らしい落ち着きと、威厳のある姿を見せ、世界の人々に深い感銘を与えました。フランスで同じことが起こったとしたら、互いにトマトを投げ合うような世紀のパニックになるのでは。フランスの原子力発電所もかなりひどい状態にあると思うので、数年以内に事故が起こるんじゃないかと危惧しています。素晴らしい教訓をありがとうございました」。セレモニーでは、『セヴァンの地球のなおし方』のジャン=ポール・ジョー監督が福島などの被災地を訪れたと語り、「原発に反対する女性たちに会いました」と言った後、舞台上で原発反対と書かれたハチマキを巻くと、会場から拍手が上がった。

東日本大震災以降、多くの来日イベントが中止に追い込まれたが、今回のフランス映画祭では多くのゲストが来日してくれた。他にも『Chantrapas(原題)』のオタール・イオセリアーニ監督、『匿名レンアイ相談所』のジャン=ピエール・アメリス監督、『美しき棘』のレベッカ・ズロトヴスキ監督、『消えたシモン・ヴェルネール』に出演した俳優のジュール・ベリシエ、『ピアノ調律師』のオリヴィエ・トレイナー監督などが次々と登壇した。

映画祭のプログラムは、若者の葛藤から大人のほろ苦い恋愛まで、様々な人間模様を描いた作品を中心に、“地球の今”を描いたドキュメンタリー作品、アニメーション映画など、子供から大人まで楽しめる作品群となっている。主催のユニフランス・フィルムズの代表レジーヌ・アッチョンドによると「フランス映画は暗いものが多いですが、今年はコメディを多く採用したつもりです」とのこと。また、日本の復興支援協力ということでオリジナルのチャリティTシャツが制作され、映画祭の収益金の一部もCIVIC FORCEを通じて寄付される。是非とも多くの人にフランス映画を見てもらい、その魅力に触れてほしい。【取材・文/山崎伸子】

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