正体不明のアーティスト“Sia”が全楽曲を制作!映画『ポップスター』との共通点とは?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
正体不明のアーティスト“Sia”が全楽曲を制作!映画『ポップスター』との共通点とは?

コラム

正体不明のアーティスト“Sia”が全楽曲を制作!映画『ポップスター』との共通点とは?

『ブラック・スワン』(10)で第83回アカデミー賞主演女優賞に輝いたナタリー・ポートマンが主人公のセレステを演じる映画『ポップスター』が6月5日(金)に公開される。セレステを見出しスター街道を歩ませるマネージャーにジュード・ロウ、セレステの姉にステイシー・マーティン、セレステの少女時代と彼女の娘の2役をこなすのがラフィー・キャシディら多彩なキャストが顔を揃えている。
そんな本作品は、劇中でセレステが歌うすべての楽曲を、覆面のトップアーティスト・Sia(シーア)が提供していることでも大きな話題を集めている。今回はその謎多きアーティストにスポットを当ててみたい。

顔を隠して活動するトップアーティストSiaが提供した楽曲にも魅了される!
顔を隠して活動するトップアーティストSiaが提供した楽曲にも魅了される! 写真:SPLASH/アフロ

銃乱射事件に巻き込まれた少女・セレステがポップスターへの道をひた走る

2000年、14歳のセレステは学校で同級生が引き起こした銃乱射事件に巻き込まれる。生死の境をさまよった彼女は肉体的にも精神的にも大きなダメージを受けたが、姉のエリーとともに事件の犠牲者に向けて作った追悼曲が全米中で大ヒット。セレステのスター性を見出したマネージャーは、セレステをスター街道へ導く。ある日、信頼していたエリーがマネージャーと関係を持っていると知り、疎外感を感じたセレステは、純真無垢な少女から、さまざまなスキャンダルを引き起こす”ポップスター”となっていく。スキャンダルが原因で活動休止を余儀なくされていたセレステは、復活を懸けたライブを目前に控えていたが、そこでまたしても問題が起こる…。

【写真を見る】ナタリー・ポートマンがスキャンダルで大炎上!?
【写真を見る】ナタリー・ポートマンがスキャンダルで大炎上!?[c]2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC

「有名になりたくない…」ビッグネームとコラボするも、顔を見せないアーティスト

劇中でセレステが歌う曲すべてを提供しているSiaは、オーストラリア出身のシンガーソングライター。「有名になりたくない」というポリシーのもと、”顔を見せないアーティスト”として知られている。アルコール依存症や双極性障害などに苦しみ、一時はアーティスト活動を休止していたものの、第57回グラミー賞では主要2部門を含む4部門にノミネートされた。 さらに彼女は、ビヨンセやリアーナ、ブリトニー・スピアーズら有名アーティストの楽曲を数多く手掛け、いくつもの名曲を生みだしている。

多くのスキャンダルを引き起こすセレステの発言に、報道陣の注目が集まる
多くのスキャンダルを引き起こすセレステの発言に、報道陣の注目が集まる[c]2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC

主人公のセレステとSiaがリンクしてしまうライブシーンに注目

本作品でSiaの曲は、「創世記」と題されたセレステの少女時代と、「フィナーレ」と題された物語終盤で聴くことができる。「創世記」で披露されるのは、セレステが銃乱射事件の犠牲者への追悼曲として作ったバラード曲、そしてスターになるきっかけとなった曲「ホログラム」の2曲だ。前者の曲は純真無垢な少女セレステが心の底から犠牲者を悼み歌うが、「ホログラム」のMVでは奇抜な衣装に身を包み、「消えてよ」「うんざり」などの激しい歌詞をカメラに向けて放っており対照的。これは姉とマネージャーの関係を知ったあとのセレステが変貌したことを表現しているのかもしれない。そして物語終盤、セレステの復活ライブシーンでは、「私はこれまでいろいろ攻撃されてきたけれど、倒れっぱなしは嫌!」とファンに向けて言い放つセレステが、軽快なダンスとともにノリのいい曲を何曲も披露。「私はプライベートガール、パブリックに生きる」という歌詞は、Siaが表現したかったものを一気に見せているように感じた。

セレステが劇中で歌っているすべての楽曲は、映画のためにSiaが書き下ろしたもの!『ポップスター』は6月5日(金)公開
セレステが劇中で歌っているすべての楽曲は、映画のためにSiaが書き下ろしたもの!『ポップスター』は6月5日(金)公開[c]2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC

本作は、ポップスターであるセレステの栄光と苦悩の日々を描いている。「ポップスは、みんなが重く考えないから好き。いい気分になる」というセレステの台詞があるが、ポップスターになったがゆえにマスコミからバッシングされ、受ける孤独や苦しみをナタリー・ポートマンが体を張って表現している。もしかしたらセレステと同じような苦しみを味わったかもしれないSiaが曲を手掛けたことで、この物語の深みがより増しているように思えてならない。

文/咲田真菜

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