『猿の惑星』は現実か?京大霊長類研究所が世界初の研究成果を発表

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『猿の惑星』は現実か?京大霊長類研究所が世界初の研究成果を発表

『猿の惑星』の全ての起源を解き明かす『猿の惑星 創世記(ジェネシス)』(10月7日公開)の全米公開を8月5日(金)に控え、京都大学霊長類研究所が7月4日、チンパンジーに関する世界初の研究成果を発表した。これはオックスフォード大学との共同研究で、何とチンパンジーが相手の行動の意味を読み取り、自分の行動を決める能力を持つことが確認できた。

研究では、数字や文字を理解する天才チンパンジーのアイ(34歳)と、息子のアユム(11歳)を同じ部屋の2m離れたコンピューターの前に座らせ、アイが目の前の画面に表示された赤と緑の図形からどちらかを選び、アユムが母親の行動を見て、自分の前の画面で母親と同じ色の図形を選べるかを実験。すると、アユムは100%近く、母親と同じ色を選択するという結果となった。また、母子の役割を入れ替えても同様の結果が見られた。これとは別に、母子とも「赤」や「緑」の漢字が、どの色を表すかを理解できることが既にわかっていたが、研究グループはさらに難易度を上げ、一つの画面に赤と緑の図形、別の画面に「赤」「緑」などの漢字を表示し、親と子が相手の行動を見て、漢字を正しく選択できるかも実験。その結果、アユムが赤の図形を選ぶと、アイは約65%の確率で「赤」と正しく漢字を選んだ。京大霊長類研究所の松沢哲郎所長は「一方が色を選び、もう一方が漢字を選んだことは、相手の行為を単純に真似ているのではなく、その意味を理解していることを示している。今後は遠隔地にいるチンパンジーどうしが、コンピューターを介して知的なコミュニケーションができるかどうかを調べたい」と話す。

チンパンジーと人のDNAの違いはわずか1%から4%まで程度との報告があるが、この世界初の研究によって『猿の惑星』が単なるSF映画の絵空事ではないということが言えるのかもしれない。【Movie Walker】

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