大友克洋、シド・ミード、ウォシャウスキー…映画は“未来”を どうデザインしてきたか?
『AKIRA』のネオ東京、『ブレードランナー』のLA、そして『マトリックス』『クラウド アトラス』が提示する2つの未来。クリエイターたちの類稀な想像力が発揮された映画の中のフューチャー・デザインを探る。
1920's~40's 先駆者たちが見通した機械文明の行く末
第一次大戦後に始まった大量生産、大量消費の時代の象徴である、超高層ビル群とそれらを照らすサーチライト。これがこの時代の人々が思い描いた未来都市だ。映画はその間を行く飛行機や高速道路を埋め尽くす自動車という、まさに現代の都市を予見していた。建物や内装のデザインは機能的でシンプルなものが多く、そしてどこか冷たい。
1950's~70's 無機質でクリーンか破滅的な終末か
1968年、SF映画のイメージを覆す2本が公開された。科学の進歩の“その先”を哲学的に紡いだ『2001年宇宙の旅』と、人類文明が破滅を迎えた地球で人々が猿に支配される姿を寓話的に映し出した『猿の惑星』だ。宇宙船のデザインや特殊メイクのテクニックにおいても、両作が後の映画界に残した功績は計り知れない。またこの時期の作品には、東西冷戦や宇宙開発競争といった世界情勢と共鳴する暗い未来像も多かった。
1980's~90's 作家性が爆発! 百花繚乱の未来SF
サイバーパンクが台頭した80年代。その映画における代表がビジュアル・フューチャリストにシド・ミードを起用した『ブレードランナー』だ。ジョージ・ミラー監督は『マッドマックス2』(81)で、ジェームズ・キャメロン監督は『ターミネーター』第1&2作で荒廃した未来を設定。日本でも『AKIRA』が'88年に公開され、押井守は'95年に『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を監督。それぞれの手法で未来表現の新たな扉を開いた。
2000's~20's 進化するCGの進化が“まだ見ぬ世界”を創造
テクノロジーの進歩が必ずしも幸せに直結しないと人々が気付き始めた21世紀。SF映画においても過度な情報化やグローバルな経済格差といった問題を投影した作品が説得力を帯びる。そうしたなかでも、クリエイターが創造力によって“まだ誰も見たことのない世界”を提示できるのが未来SFの醍醐味。CGやVFXの発展を受けて映像のクオリティが担保されれば、今後は製作費の多寡以上に着眼点やアイデアがより重要になるだろう。
【DVD&動画配信でーた編集部】