『復讐捜査線』マーティン・キャンベル監督「世界中で一番この役にふさわしいのがメル・ギブソンだ」
監督業に専念していたメル・ギブソンが『サイン』以来、8年ぶりに主演を務めるサスペンスアクション『復讐捜査線』が7月30日(土)より公開となる。本作でメガホンと取ったのは『007 カジノ・ロワイヤル』(06)で高い評価を得たマーティン・キャンベルだ。そんな監督に本作の内容や主演のメル・ギブソンについて聞いていた。
――本作は監督ご自身がてがけた1985年のテレビドラマ「刑事ロニー・クレイブン」のリメイクですが、どうしてこの作品を映画化しようと考えたのでしょうか?
「テレビシリーズが80年代に大ヒットし、大成功を収めました。映画化のオファーがあり、それを受ける形で映画化となりました。私自身もチャンスがあればやりたいと思っていたので快諾しました。この物語はイギリスでも大反響だったのですが、いつの時代でも父と娘の関係は色あせずに、影響を及ぼすものだと思い、映画でも成功するのではないかと思いました」
――主演のメル・ギブソンのアクションはさすがと思うほど素晴らしかったです。他にも人気のあるアクション俳優がたくさんいるなかで、メルは8年ぶりの主演作と、かなりブランクもありましたが、なぜ主演にメルを抜擢したのでしょうか?
「世界中で一番この役にふさわしい、ベストな俳優だと思ったからです。年齢的にもぴったりですし、ちょっと長い間、映画から遠ざかっていたということもあり、オファーし、彼もやりたいということで、パーフェクトだと思いました。メル・ギブソンは本当に今までも素晴らしい俳優でしたし、それは今も変わらないと思います。私の想像をはるかに上回る、期待以上のとても良い演技をしてくれました」
――テレビ版の舞台のイギリスから、本作ではボストンに変わりました。ボストンでの撮影を振り返って、ここを選んで正解だったでしょうか?
「ボストンはイギリスとアイルランドに非常に雰囲気が近い街なので、まさにぴったりだと思いました。アイリッシュカトリックのコミュニティもあり、それがふさわしいと思いましたし、実際にボストンの街は、道の名前もイギリスの名前と同じものがあるので、イギリスに近いものがありますね」
――クレイブンのレインコートにはかなりこだわったそうですが、その理由は何でしょう?レインコートには何か意味を持たせたのでしょうか?
「テレビ版のクレイブンが、くしゃくしゃしたしわしわのトレンチコート着ていたので、それに合わせました。確かに刑事といえば、トレンチコートですが、このキャラクターといえばトレンチコートだったというのが一番の理由です」
――本作で監督がもっともこだわった点を教えてください
「特にこだわった重要な点は2つあります。まず、クレイブンのキャラクターです。テレビシリーズと同じものにするということ。そしてクレイブンと娘の関係。これをしっかりと描く。この2つがテレビシリーズの持っていた精神を映画にも受け継ぐという一番重大なところでした」
メル・ギブソンが演じるのは娘の復讐に燃える孤高の刑事だ。『リーサル・ウェポン』シリーズのようなはちゃめちゃさはないものの、悪に立ち向かうメルの姿はやはりそれらのシリーズを彷彿とさせる。ハードなガンアクションやカーチェイスシーンも見もので、マーティン・キャンベルの手腕が冴えわたる。本作は是非ともスクリーンでこそ楽しんでもらいたい一本だ。【Movie Walker】