メラニー・ロラン「これは作らなければならない重要かつ素晴らしい作品です」PART1

インタビュー

メラニー・ロラン「これは作らなければならない重要かつ素晴らしい作品です」PART1

第二次世界大戦中の1942年、フランス政府によって行われたユダヤ人一斉検挙。粘り強い取材と綿密な時代考証によって実際の出来事を限りなく事実のままに再現した人間ドラマ、それが『黄色い星の子供たち』(公開中)だ。そんな本作で看護師アネットを演じたメラニー・ロランのインタビューを2回に分けてお届けする。

――脚本を読んだ時、どのように思われましたか?

「辛い思いをしながら一気に読み終わりました。強制収容所での捜索のシーンを読みながら、息ができなくなったのです。何という暴虐でしょう。ページをめくりながら泣いていました。脚本の最後まで行った時、すぐにローズ監督に電話をしましたが、泣き崩れてしまい何も話せませんでした。脚本をもらう前に彼女と過ごした一日で、既に心を揺さぶられていました。彼女は資料や写真を見せてくれたのです。彼女は端役も含めて、実話や実際に存在した人から全てのシーンや登場人物がどのようにして作り上げられたかを説明してくれました。それぞれの物語を語ってくれたのです。全ての逸話が現実で、本当に起こったことで、彼女がそれを調べ、そして記憶に残すための大切な義務に私が参加する機会を与えてくれたということに、もしかすると最も感動したのかもしれません。『黄色い星の子供たち』のような作品は素晴らしい役だけではなく必要な作品であり、作らなければならない重要かつ素晴らしい作品であり、躊躇することは何もありませんでした」

――アネット・モノは実在した人物です。演じるうえで何かを変える必要はありましたか?

「いいえ。もし彼女に会っていたら間違いなく何かが変わっていたと思いますが、1995年に亡くなっています。ジョゼフとの出会いはとても強烈な瞬間でした。撮影現場に来ることは彼にとってショックなことでした。ある夜、ブタペストに到着する彼をホールで待っていました。絶対、彼を腕の中に抱きしめたいと思っていました。これは身体的に必要なことだったのです。彼が到着して抱きしめた時に、『あなたが僕の看護婦ですか?』と言われました。それで『ええ、撮影の間、あなたのお世話をするためにここにいます』と答えました。それから作品や彼が体験したことに関しての質問を始めたのです。ある瞬間、彼は話を止めてしまいました。『話すことができない』と言って泣き始めたのです。これは私にとって驚くべき出会いでした。いずれにせよ、今まで体験したことのないほど感情にあふれた撮影でした。一方ではとても幸福な撮影でもあり、他方では心を揺さぶる堪え難い経験でした。楽しかったのは、子供たちの世話を見る看護婦として部分が、すぐに実際の生活にでも出てきたことです。ブタペストでは私たち全員が庭に囲まれた同じホテルに滞在しました。全ての人が行ったり来たりし、私も部屋の扉も開けたままにしたので、朝になると子供たちが起こしに来てくれて、彼らに物語を語ってあげたりしました」

――そういうことがあなたなりの役作りだったようですね

「ええ、ですがそれだけではありません。この作品の中で、子供たち、特に小さなノノは私のことが好きで慕ってくれているので、彼らと緊密な関係を作る必要がありました。ある意味では彼らの面倒を見ている、責任があるとまで感じていたのかもしれません。この役が撮影を超え、この子供たちの世話をしなければならないだろうという印象があったのです。たとえ彼らが何を演じているのかを常に理解していなくても、撮影は強烈なものでした。3ヶ月間、子供たちは大人たちの注意を受けていましたが、それから突然、学校に戻り、他の子供たちと同じようになるのです。これは辛いことです。ジョーを演じたユーゴには再会し、彼の家にも行き、時々電話をかけながら連絡を取り続けています。私にはこうするしかないと思えたのです。そして撮影現場でのローズはとても知的でした」

――それはどのように?

「子供たちとの間に作り上げる関係の必要性を理解し、撮影の間に私が愉快でいることを許してくれました。彼女に『私を信じて。必要な時には必要な感情を注ぐから、時には行き過ぎているとしても冗談を言わせて。私にはそれが必要なの』と言いました。彼女はこれをちゃんと理解してくれました。このはけ口がどうしても必要で、そうでなければ抗うことができなかったでしょう。到着した時から、強制収容所は暴虐そのものだったのです。それでも病気になってしまったので、このはけ口だけでは十分ではなかったようです。奇妙な状態が混ざっていたんです。素晴らしい人たちと出会い、いつも現場に来ていたイラン・ゴールドマンとは意気投合しました。ハンガリー人のエキストラにも魅了されました。彼らは素晴らしく、とても多くのものを私たちに与えてくれました。全ての人たちに支えられているという素晴らしい感覚を味わいました。なのでとても幸せな撮影だったのですが、この作品が語る物語のせいで、もし感受性の豊かな人であったら、向き合わなければならない感情のために不眠になるか、少なくともよく眠れなくなるでしょう。この作品の撮影中、毎晩強制送還され、毎晩小さな弟(ノノ)を助けようとしていました。朝、一晩中走っていたように疲れて目が覚めるのです。そして毎日とても暑かったのです」

――それらが役作りに有意義だったのではないでしょうか?

「確かにそうですが、普段はそういうことが大嫌いです。このような仕事の仕方をしたことはありませんでした。実際、私が病気になったのは、この作品が私の命をここまでつかみきっていることが最終的に耐えられなかったからだと思います。撮影したシーンと、一日の残りの時間の間に距離を保つことはとても複雑でした。それで全身に帯状ヘルペスが出たのです。ヴェルディヴの場面を撮影していて、白衣を着て看護婦を演じていましたが、撮影の合間に痛みに苦しみながら担架の上にいたのは私だったのです。薬が強すぎたので痙攣を起こし、ローズは『中止しましょう!』と言いましたが、私は拒否しました。まるで精神分裂のような状態でした。私は自分にこう言ったのです。『彼女がこんな状態なのは当たり前だ。彼女が痙攣を起こすのは当たり前だ。恐ろしいものを見ているのだから』と。私は化粧をしない、真実味のある、疲れている役が好きなのですが、それは本当に疲れているからです。私にとってこれが女優なのです。私は自らを役立てたのです!」

★インタビューPART2へ続く
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