DVD絶版で鑑賞困難!15年ぶりにスクリーンに登場する忘れられた名作とは?
1996年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝いた、エミール・クストリッツァ監督の異色作『アンダーグラウンド』(95)をご存知だろうか? 20世紀の名画ベスト10に入ると言われるほどの作品でありながら、権利関係の事情でDVDは絶版状態。レンタルビデオ店にもなかなか置いておらず、今では見ることが難しい、文字通り“アンダーグラウンド”化していた作品だ。だが、そんな埋もれた名作がデジタルリマスター化され、9月24日(土)よりリバイバル上映されることに。日本では1996年の初公開以来、じつに15年ぶりの劇場公開となるだけに、待ちわびていたファンも多いはずだ。
本作の舞台は東ヨーロッパの都市ベオグラード。1941年、ナチスの侵攻を逃れて地下空間(アンダーグラウンド)に避難した人々は、その場所で奇妙な共同生活を続けていた。そして50年後の1991年、地上へ出た人々が目にしたのは、バラバラになった祖国ユーゴスラビアの姿だった。
政治的な主張も絡むシリアスなテーマを扱いながらも、徹底してコミカルなアプローチで描かれた本作は、あらゆる要素が詰め込まれた非常に見ごたえのある作品だ。本作を撮影した後、クストリッツァ監督がしばらく映画を撮ることを止めてしまったというエピソードからは、彼がいかに全身全霊を賭けてこの作品に臨んだかがうかがえるだろう。
当然、今回の再公開に対する期待は大きいようで、「ずっと見たかった作品だった」「あの傑作をスクリーンで見ていないなんてもったいない、と言われていたので嬉しい」など、貴重な作品であるだけに喜びの声が多く寄せられている、と本作の宣伝担当が教えてくれた。
世界三大映画祭全てで監督賞を受賞している希代の映画監督が全ての力を込めた作品『アンダーグラウンド』。この名作を埋もれたままにしないためにも、是非この機会に魅力を再発見していただきたい。【トライワークス】