1日7キロの減量もなんのその! 阿部寛「なんとしても成功させたかった」『天国からのエール』初日舞台挨拶

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1日7キロの減量もなんのその! 阿部寛「なんとしても成功させたかった」『天国からのエール』初日舞台挨拶

余命3ヶ月と宣告された主人公と若者たちの交流を描いた感動作『天国からのエール』。本作が公開初日をむかえ、主演の阿部寛をはじめ、ミムラ、桜庭ななみ、矢野聖人、森崎ウィン、野村周平らキャスト、熊澤誓人監督が本編上映後に劇場に登場。舞台挨拶を行った。

美ら海水族館で有名な沖縄県本部町で、弁当屋を営みながら、夢を持つ高校生たちのために、無料音楽スタジオを設立した故・仲宗根陽(なかそねひかる)さんの実話を映画化した本作。主人公・大城陽を演じた阿部寛がマイクを持つと、観客から「ニイニイ!」と掛け声がとび、阿部は照れくさそうに笑顔を浮かべた。阿部は「非常にプレッシャーを感じましたが、いろいろな人たちに支えられて、仲曽根陽さんという情熱の人物をやらせていただきました。陽さんは子供たちに夢をあきらめるなと言い続けました。大人の役目として、自分の可能性を信じられない若者の背中をちょっと大人が押してあげることで越えられる壁があると思う。けっしてあきらめずに親以上に熱くぶつかっていった人。だからこそ子供たちもあきらめずに夢を追い続けられていったんだと思います」と演じた人物への思いを語った。

そんな阿部が演じた主人公を支える妻・美智子を演じたミムラは、「奥様から直接お話を伺う方法を取ろうかと悩んだんですが、実際に奥様とはお天気の話をしたりしてました。その日常会話の中で、陽さんと奥様の絆や陽さんと同志であった姿勢が見えて、役作りに役立ちました。撮影現場で私たちを見守ってくれて毎日のように足を運んでくださって、アイスなどを差し入れしてくれたり、現場のお母さんのような存在で、女性として憧れている部分もあります」と話した。バンド活動に全力で取り組む女子高生・比嘉アヤを演じる桜庭ななみは、「私たちを信じてくれるし、私たちも信じられる。陽さんのような人が近くにいたら、夢を追いかけるための存在になると思います」とコメントした。

桜庭とともに、バンドを組んだメンバーのユウヤ役を演じた矢野聖人は、本作が映画初出演となった。矢野は、緊張した面持ちで「夢のような時間を過ごすことができました。たくさんのキャストやスタッフさんに支えられてすごく良かったです」とコメントし、阿部から「大人になったな」と声をかけられた。ドラムのカイ役を演じた森崎ウィンは「撮影に入る前に、1ヶ月くらいバンドの練習させてもらったんですが、みんな会うたびにすごく成長が早かった。僕は負けず嫌いなので、家に帰って猛練習しました。みんな裏でコソコソやってるんですよ(笑)」と話した。バンドの男性メンバー3人は、撮影中にヤドカリを飼っていたそうで、ベースのキヨシ役を演じた野村周平は「ミノっていう名前をつけてクランクアップまで育てていたんですが、海に返した途端、すぐにいなくなっちゃいました」とコメント。日々をともにしていたヤドカリだったが、その別れはあっけなかったようだ。

本作のメガホンをとった熊澤誓人監督は、今回初の長編映画。監督は「沖縄で無償で若者たちにスタジオを開放して、そこでプロのミュージシャンが育っていくという言葉だけを聞くと、ファンタジーのような感じがするんですけど、もしかしたら陽さんのような人は自分の近くにもいるんじゃないかって思ってもらえるようにリアリティーを追求して撮りました」と作品へのこだわりを語った。

またスペシャルゲストとして、主人公のモデルとなった故・仲宗根陽さんの妻・美幸さんが登場。キャスト、スタッフへ向けた手紙を披露した。「阿部さんは、主人が通っていた美容室でパーマをかけたり、1日に7キロの減量をされたりして、その役者魂に圧倒されて感動しました。撮影中、阿部さんの姿が主人と重なり涙があふれました。私たちにとって阿部さんは、いつまでもニイニイであり仲曽根陽です。この映画は私たちの宝物になりました。本当にありがとうございました」と涙をにじませながら感謝の思いを朗読。それを静かに聞いていた阿部は、「最初はまるで夢物語のようだなと思っていました。でも初めて奥さんとお会いしたとき、まるで仲曽根さんがうしろに立っているように見えて、奥さんから仲曽根さんを感じたんです。そして『陽をよろしくお願いします』と言われて、なんとしてもこの映画を成功させたいと思いました」と当時の気持ちを語った。

最後に阿部は「みなさん『はやぶさ』よりもこっちを選んでくれてありがとうございます(笑)。あちらもすごくいい作品だと思います(笑)。仲曽根さんが遺したものは、今の社会にとってすごく良いものだと思う。映画を観てくれた人が自分なりの何か良いものを持って帰ってくれると信じています」と映画の魅力をアピールした。まるでフィクションのような実話から生まれた感動を、そして阿部寛の役者魂を劇場で感じてみてほしい。【取材・文/鈴木菜保美】

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