『夢売るふたり』松たか子&阿部サダヲがクランクアップで「ほっとしたような、寂しいような」
『ゆれる』(06)、『ディア・ドクター』(09)など、嘘があぶり出す真実の人間の絆を、鋭い眼差しと深い心理描写で描いてきた西川美和監督が、結婚詐欺を働く夫婦の姿を描く『夢売るふたり』(2012年秋公開)。本作の撮影が、冬編撮影を一部残し、無事にクランクアップした。
8月20日に埼玉県のスキップシティでクランクイン、約1ヶ月半、都内近郊でロケ中心の撮影を行ってきた本作。日差しの厳しい猛暑の真夏から、風を冷たく感じる初秋へと季節も変わる中での長期間に渡る撮影となった。
10月2日、常総市でナイターシーン撮影のために日没を待ち、17時30分頃に少し風が吹く中、阿部サダヲのラストカットの撮影が開始。ラストシーンは一発OKで、無事に市澤貫也役の阿部がクランクアップした。翌3日には、門前仲町で市澤里子役の松たか子がクランクアップ。最後の撮影は橋を走り抜けるシーンとなり、冷たい風が吹き抜ける深夜、全力疾走を繰り返し、無事終了となった。
ふたりは本作が初共演となり、東京の片隅で小料理屋を営み、火災で全てを失う夫婦を演じている。撮影を振り返り、阿部は「燃やしていただいたり、水をかけていただいたりと、色々やらせていただいて、すごく嬉しかったです。楽しくお芝居をさせていただきました」と、冗談まじりに語った。無事に撮影を終え、松は「撮影が始まった頃の暑さを思い返すと、約1ヶ月半走り続け、まさかこの日が来るとは、という心境です。ほっとしたような、寂しいような気持ち」と名残り惜しそうに気持ちを吐露した。夫婦役を演じた阿部や、西川監督について、「阿部さんとは、映画で、しかも夫婦役でご一緒できるなんてとても光栄なことでした。西川監督との現場もとても面白く、私たちが演じる夫婦を形作っていただきました。おふたりとも最高です。夫婦は、一番近くにいて、そして一生血のつながらない、不思議で、それでいて面白い関係だと思います。どんな映画になるのか、私自身も完成が楽しみです」と、本作の完成に期待を寄せた。【Movie Walker】