渡辺謙の息子・渡辺大が、父超えを目指すラーメン屋店主を演じて見つけた目標とは?
日本を代表する国際派俳優として『インセプション』(10)など次々とハリウッド大作に出演し、来年には主演最新作『はやぶさ 遥かなる帰還』(2012年2月11日公開)も控える渡辺謙。昨年には『ロストクライム 閃光』で主人公の刑事役を演じるなど若手実力派として注目を集める彼の息子・渡辺大が、映画『ラーメン侍』(10月22日公開)でラーメンに情熱を注いだ父と子の一人二役に挑戦している。奇しくも、偉大な父親と同じ職業を選んだ息子という、自身の境遇と近い役柄を演じることになった。
映画の舞台となるのは、とんこつラーメン発祥の地として有名な福岡県久留米。東京のデザイン会社で働いていた光は、ある日、突然父の訃報を受け、久留米にあるラーメン屋を継ぐことに。戦後復興期に裸一貫でラーメン屋台を始め、「ラーメンで人と街を元気にしたい」という熱い思いが込められた父のラーメンは人々を魅了し、店は人気店となっていた。光は父の味を再現しようと試行錯誤を繰り返し、さらには父とは違う自分のラーメンを追い求めるようになっていく。
“本格ラーメン人情活劇”と銘打たれた本作で、製作陣が最もこだわったのがラーメンの描写だ。劇中でラーメン作りを披露しなければならない渡辺大は、撮影前から新横浜ラーメン博物館で修行を重ね、プロ顔負けの手さばきを体得した。若き日の渡辺謙も伊丹十三監督によるラーメン映画『タンポポ』(85)に出演しており、そっくりになってきたと言われている渡辺大はその容姿のみならず、経歴までも偉大な父をなぞっているかのようだ。
「確かに父親と同じ職業を選んだ主人公・光と自分には重なる部分があります。ですから役作りも、光はより自分の素に近く、(父親役の)昇は“男として、父親として、こうありたい”という自分の理想を込めて演じました。光が“自分のラーメン”を目指すように、僕も“自分の演技”を磨いていきたいと思っています」と今回の撮影を経て、父とは違った自分なりの役者像を追求し始めている渡辺大。
国際的に活躍する偉大な父・渡辺謙の息子という立場から、渡辺大がどう脱皮を遂げるのか。まずは『ラーメン侍』でその第一歩を見届けてほしい。【トライワークス】