文豪ゲーテ役のイケメン俳優「恋に情熱的な点がゲーテと似てる」
ドイツの文豪ゲーテの若き頃のロマンスを軸に、不朽の名作「若きウェルテルの悩み」を生み出す過程を描いた『ゲーテの恋 君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」』(10月29日公開)。現在開催中の第24回東京国際映画祭の特別招待作品で上映された本作で、主演のアレクサンダー・フェーリングが初来日を果たした。そこで、甘いマスクのドイツ人俳優アレクサンダーの素顔に迫った。
作家になることを夢見る若者ゲーテが、ある日、美しい少女シャルロッテと出会い、恋に落ちる。ところが、彼女はゲーテの上司の許嫁だった。悲恋に苦悩するゲーテは自身の体験を「若きウェルテルの悩み」として綴っていく。『イングロリアス・バスターズ』(09)で注目されたアレクサンダーは、ゲーテ役をオーディションで勝ち取った。
自由奔放で恋に情熱的なゲーテ。アレクサンダーとの共通点はどんなところなのか?「自分自身のことはわからないけど、少なくともエネルギッシュで、感情が開けっ広げで、好奇心旺盛なところは似ているかもしれない。恋に情熱的なところもね(笑)。だから、ゲーテ役には非常に感情移入できたよ」。また、ゲーテとシャルロッテの恋についても「ゲーテたちは最初の印象が最悪で、会って2回目以降で恋に落ちる。僕もそういう恋の実体験があるよ」と、お茶目な笑みを見せてくれた。
ゲーテたちが手紙のやりとりで恋を育む点については、「時間をゆっくりかけて恋が進んでいくのが良い」という。「今の時代は何でもスピードを要求されて、それがかえってストレスになる。だから、ゲーテのこういうコミュニケーションのあり方に思いを馳せて、立ち返ってみるのも良いかなと思う」。
ふたりの田園でのラブシーンについては、「ゲーテとロッテが本当にああいう関係を持ったかどうかの史実はないとは思うけど、たぶんキスくらいはしたんじゃないかな」と、いたずらっぽい表情で語る。「でも、あのシーン、撮影するのは簡単じゃなかったよ。共演者のミリアム(・シュタイン)とよく話し合ったし、実際、撮影する時は、僕と彼女とカメラマンと監督の4人だけで撮影したんだ。だから、とても安心して演技に打ち込めたよ」。
「若きウェルテルの悩み」のフレーズ「私は実に色々なものを持っている。しかし彼女を慕う心がいっさいをのみこんでしまう」については、「恋愛することによって、自分自身の存在意義がわかるってことはあるんじゃないかな」と語る。ただ、ウェルテルのように命懸けで恋をすることについては「恋愛したらいろんなことをしたい。そのためには生きていかないと駄目だよね。死んだら終わりだから」とのこと。
今回、初来日となった彼は日本食を色々と堪能したようだ。「日本の皆さんはすごくフレンドリーで最高だよ。日本食もとっても美味しいね。刺身も鮨も大好きだし、今回、馬刺しも食べたんだよ」。取材中、終始笑顔で話してくれた好感度大のアレクサンダー。そんな彼が「自分のキャリアにおいて特別な作品」という本作は、明日から公開されるので、スクリーンでの彼に是非会いに行ってみて。【取材・文/山崎伸子】