スピルバーグに見初められた英国美青年の潤んだ瞳に釘付け
スティーヴン・スピルバーグ監督が、同名の舞台を観て感動し、自ら映画化にこぎつけたという映画『戦火の馬』(2012年3月2日公開)。第一次世界大戦を背景に、ジョーイという一頭の美しい馬がたどる運命を描く感動のドラマだ。そんな本作で、主人公とも呼べる名演技を披露している“馬”と同様に観客の心をぐっととらえて離さないのが、アルバート役の新星ジェレミー・アーヴァイン。仔馬時代からジョーイを育て、やがて戦場で再会することになる青年アルバートを演じた彼は、本作が映画初出演とは思えないほど。潤んだ瞳とまっすぐな演技で、見事に作品の感動を倍増させている。
ロンドン音楽演劇アカデミーに学び、舞台で経験を積んだジェレミーは、現在21歳のイギリス人。劇中には、少年から大人の男へと変わる狭間の表情がふんだんに盛り込まれ、無名ながらも鮮烈な存在感を披露している。初出演にして大きな注目を集める彼だが、そこには、監督・スピルバーグとの出会いが大きな役目を果たしているといっても過言ではないだろう。これまでにもスピルバーグの作品をきっかけに、大きな飛躍を遂げたヤングスターは多いからだ。
『E.T.』(82)のドリュー・バリモアやヘンリー・トーマス、『太陽の帝国』(87)のクリスチャン・ベールらは、スピルバーグ作品に子役として出演し、現在でも活躍中なのは知られるところ。また近年では、製作総指揮を務めた『トゥルー・グリット』(10)でヘイリー・スタインフェルドをアカデミー賞候補に導いたり、『ラブリー・ボーン』(09)のシアーシャ・ローナンや『SUPER 8 スーパーエイト』(11)のエル・ファニングなどを起用し、それぞれのみずみずしい感性を引き出してブレイクさせている。
もちろん、ジェレミーとて例外ではない。本作以降も、文豪ディケンズの名作「大いなる遺産」をマイク・ニューウェルが監督する『Great Expectations(原題)』や、コリン・ファース主演の『The Railway Man(原題)』など新作が続々待機中だ。本作で次世代スターの筆頭に躍り出たジェレミー。まずは『戦火の馬』でその魅力に触れてみてほしい。【トライワークス】