あの屈強なハリウッド俳優が惚れ込んだのはマシンガンを持って戦う牧師!?
片方の手には聖書を携え、もう片方の手にはマシンガンを抱える牧師がいる。彼は残酷な争いに巻き込まれた子供たちを救うべく、今日も武装して戦いつづけるのだった。まるで新手のB級アクション漫画にでもありそうな話だが、これは全くの実話だ。そんな機関銃を持った実在の牧師、サム・チルダースの半生を描いた映画『マシンガン・プリーチャー』が2月4日より公開されている。
幾つかの犯罪に手を染めて生きてきたサム・チルダースは、ある時、妻の勧めによって教会の洗礼を受けることになる。人生をやり直す決意をした彼は、ボランティアとして派遣されたアフリカで信じられない光景を目にするのだった。それは「神の抵抗軍」を名乗る武装ゲリラが子供たちを拉致し、強制的に少年兵として利用するという蛮行だった。地元ペンシルベニアの教会で牧師となったチルダースは、拉致された子供たちを取り戻すため、マシンガンを持って戦うことを決意する。
そんな本作でサム・チルダースを演じたのは、『300(スリーハンドレッド)』(07)への出演などで知られるジェラルド・バトラーだ。彼は今回のチルダース役について「今までで一番やり甲斐のある役だった」と振り返っている。チルダースの人格や生き様に魅せられたバトラーは、ペンシルベニアの教会へも積極的に足を運んだほか、本作の製作総指揮まで担当するという気合の入りっぷり。劇中では絞り込んだワイルドな肉体でチルダースになりきり、挫折を乗り越えて再び立ち上がるまでを熱演している。
バトラーをはじめ、実際にチルダースと言葉を交わした人たちは皆、彼の性格に宿る二面性を指摘する。彼の心には、人道的な情け深さと、危険な攻撃性とが同居しているというのだ。そしてこの二面性は、まさに聖書とマシンガンという奇妙な対比に象徴されている。しかし、これを単にチルダースの乖離した性格として片付けるわけにはいかないだろう。彼の二面性が示しているのは、何かを守るということが、すなわち別の何かを傷つけることであるという重要な事実なのではないだろうか。本作からはそんな教訓も得ることもできるはずだ。【トライワークス】