『テンペスト』のSキャラが話題の高岡早紀「障害があるほど燃える恋が痛かった」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『テンペスト』のSキャラが話題の高岡早紀「障害があるほど燃える恋が痛かった」

インタビュー

『テンペスト』のSキャラが話題の高岡早紀「障害があるほど燃える恋が痛かった」

NHK-BS時代劇を3Dで映画した『劇場版テンペスト3D』(1月28日公開)で、仲間由紀恵扮する主人公・孫寧温を窮地に追い込む天敵・聞得大君役を演じた高岡早紀。寧温をいじめ抜く役どころだが、高岡自身は「今までやったことがない役だったので、オファーをもらった時は驚きました」と言う。彼女にインタビューして、興味深い役作りや、撮影秘話を振り返ってもらった。

原作は、19世紀の琉球王国を舞台にした池上永一の歴史小説。ヒロインの真鶴(仲間由紀恵)は、琉球を守るために、一人の男・孫寧温と自分を偽って生きていく。高岡演じる聞得大君は、18代琉球国王の姉で、強い霊能力を持つ王族神だ。寧温が女であることを見抜いた聞得大君が、彼女をおとしめようとするドSぶりが人気を博したが、高岡は「最初に本読みの段階で、監督から『もっと思い切りやれ』と言われて、探り、探りやっていきました」と語る。

その後、聞得大君のいじめは回を追うごとにエスカレートしていく。「カットがかかると、監督が本当に嬉しそうにワッハッハと笑っていて。そういうものが自分の中でバロメーターになっていき、現場も活気づいていきました。達成感がありました、と言うのは恥ずかしい感じがしますが、楽しかったのは確かです(笑)」。

本作では、寧温と薩摩藩士・浅倉雅博との切ないロマンスも見どころの1つだ。「本作では、障害ばかりの恋しか出てこないんです。実らないとわかっているし、絶対に手を出してはいけないのに出してしまう。恋についてはよくわからないですが、どうしようもないですよね。障害があるほど燃え上がってしまう。悲しいから止めれば良いのに、心が惹かれ合うと、抑えることができないのかもしれない。あのふたりのシーンは痛くて仕方がないです」。

テンペストとは“苦難に次ぐ苦難”を示す。孫寧温だけではなく、後半で思いもよらぬ境遇に追いやられる聞得大君も、テンペストを乗り越えようとした一人だ。「聞得大君は、別に寧温をいじめていたわけじゃなくて、自分が誰よりも琉球王国を愛しているという自負があったからこそ、ああいう行動に出たんだと思います。王族神という狭い世界しか知らずに突き進まなければいけないという定めは、悲しくもありますよね。すごく一生懸命、琉球のために頑張ったと思います」。『テンペスト』の最大の魅力についても、「琉球王国最後の激動の時代に、寧温や聞得大君など、女性がすごく頑張っていくところです。時代に翻弄されながら生きていく姿は痛ましいし悲しい。でも、すごく素敵じゃないですか」と語る。

最後に、今後の女優としてのスタンスについて語ってくれた。「目標とか、どんなふうになりたいとかはあまり考えたことがなくて。この仕事ってゴールがどこにもないんですが、一つ、一つの作品には区切りがあって、終わってもまた次が始まるでしょ。いろんな役をやることで、どんどん変化していかなければいけない。でも、結果としてそれが楽しいんだと思います。だから、未来の何かに自分が引っ張っていってもらいたいというか。どこへでも行けるんです、私は。とにかく楽しい人生を歩んでいけたらと」。激しい気性の聞得大君とは180度違って、とてもしなやかで軽やかな印象を受けた高岡早紀。女優というのは、付けた仮面と素顔とのギャップが大きければ大きいほど面白い。【取材・文/山崎伸子】

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