『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』で林遣都が河童役の小栗旬に感じたカリスマ

インタビュー

『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』で林遣都が河童役の小栗旬に感じたカリスマ

中村光による人気コミックを大胆に映画化した『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』が2月4日(土)より公開となる。昨夏に放送されたテレビドラマに続き、御曹司のリクと荒川河川敷に住む一風どころか、かなり変わった人々の交流を描くハッピー・ラブコメディだ。リク役を演じた林遣都に撮影エピソードから、自身に起きた変化までを直撃した。

もともとギャグ漫画が大好きだという林。撮影前に原作を読み込んだという。「まず表紙を見るなり、何だ、この作品はと(笑)。ページをめくっていくと、河童や星などおかしな格好をした人たちが次から次へと出てきて、シュールな笑いにあふれていて。でも、ふとした時に少女漫画のようなキュンとした瞬間があったり、小説の中に出てくるような言葉が出てきたり。これまでに見たことのない漫画でした」。

林が演じるリクは、村の唯一の常識人。「リクはもともと大企業に勤めるエリートですが、金星人と名乗る女の子に命を救われて、荒川の人たちに出会う。最初は、村の人たちが言うこと、やることに対して、『いったい何なんだ』って、冷静に突っ込むのがリク。でも監督から、リクが突っ込んだ後に、『あ、なるほど』って気づく瞬間が大事だと言われて。おかしいと思っていた村の人たちが、すごく魅力的だと気づいていくことで、つまらない男だったリクも魅力的になっていく。その変化を大事にしました」。

河童のスーツを着た村長役に小栗旬、星型のマスクを被った星役に山田孝之など、若手実力派の代表格がこぞって参加している。その中での主演にプレッシャーはなかったのだろうか。「撮影前は、二十歳という時期に、すごく自分にとって大きな作品になるだろうし、こんなキャストでやれるとしたら、どんなに面白い作品ができるのか楽しみで仕方がなかった。でも、撮影に入ると緊張してきちゃったんですよね。たくさんのスタッフさんに囲まれて、そうそうたる出演者の方々の先頭に立って主演をやると思ったら、一気にプレッシャーに襲われてしまったんです」。

キャストが扮装をしていることも影響したようで、「これまで全然接したことのない人たちが、マスクやおかしな衣装で扮装をしているので、正体がわからないというか(笑)。打ち解けられるのかなって。特に河童の村長は、いつも眉間にしわを寄せているので、怒っているようにしか見えない。怖かったです」と笑う。

そのプレッシャーを吹き飛ばしてくれたエピソードを明かしてくれた。「僕が真剣なシーンを撮っている時など、河童の姿をした旬くんが変なちょっかいを出してきて、集中力をそぐんです(笑)。でも、後で聞いたら『俺がああいうことをしたのは、リクが村の変な奴らと出会ってどんどん魅力的に変化していくように、遣都も俺たちと出会って表情が柔らかくなっていくと良いなと思ってやったんだ』と言われて。嬉しかったですね!」。

撮影が終わると、毎日一緒にご飯を食べたという。「リクと一緒に成長できた気がしています」と語るように、自然と“主演”になり、周囲とも打ち解けていけたと振り返る。『荒川』に出会って、自身に起きた変化とは? 「主演という形で、この出演者、スタッフの方たちに囲まれてやりきることができたことは、自分にとって本当に大きな財産。『荒川』の前と後では、撮影に対する臨み方も全く変わりました。いつも自分を見守ってくれた飯塚監督に出会えたのも大きくて。一人の人間を演じるうえで、どれくらいの覚悟と準備が必要なのかということも教わりましたし、とにかく雰囲気の良い現場で。一人、一人の行動や気持ち一つで、居心地の良い場所って作れるものなんだなって」。

見た目がおかしなキャラクターたちが、“人にとって本当に大切な宝物”を教えてくれる本作。特に心に刺さったセリフは? 「河童の村長が『明日もステキなはずだぜ!』というセリフ。大雑把な言葉ですが、笑っていれば素敵な未来が来ると。村長はカリスマ。旬くんという選ばれた人にしかできないし、やっぱり『荒川』の良いところを村長が持っていってますね(笑)!」。

20代に突入し、役者として大切なものを得た林。河童の正体やリクとニノの恋の行方も気になるところ!是非、荒川の奇妙な住人と一緒にあなたの宝物を見つけてみてはいかがだろうか。【取材・文/成田おり枝】

関連作品