『ドラゴン・タトゥーの女』で54回のテークに、主演女優ルーニーは「当たり前だと思ってました」
本年度アカデミー賞で5部門にノミネートされた『ドラゴン・タトゥーの女』(2月10日公開)で、同賞で初の主演女優賞にエントリーされたルーニー・マーラとデヴィッド・フィンチャー監督が来日し、1月31日にミッドタウンホールで記者会見を開催。会見に慣れてないというルーニーはハニカミながらコメントし、フィンチャー監督は笑顔で饒舌に映画をアピールした。
本作は、『セブン』(95)のデヴィッド・フィンチャー監督が、全世界で6500万部を売り上げたスウェーデン作家、スティーグ・ラーソンのミステリー小説を映画化したもの。スウェーデン版の『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(09)との違いについて監督はこう答えてくれた。「正直、スウェーデン版は1度しか見てないので、どこが違うのかを答えられないです。でも、強いていうなら、脚本が違うこと。とにかく自分が原作を読んで感じたことを忠実に描くように心がけました。スウェーデン版と意図してここを変えようと思ったところはありません」。
ルーニーは、本作で演じた、体中にピアスとタトゥーをした天才ハッカー、リスベット役についてとても共感したという。「原作3冊を読んで、彼女のことがとても好きになり、すごく理解できたんです。人生で自分が誤解されている、のけ者にされているという経験は、どなたにもあることだと思いますし、いろんな形で共感しました。また、若い女優にとって、このような役をやるのは大きなチャンスだと思いました」。本作では女優としてだけではなく、ファッションのアイコンとしても注目を浴びそうな彼女だが、そのことについては「あまり考えないようにしてます。自分なりの生き方を続けております」と、さらりと答えてくれた。
前作『ソーシャル・ネットワーク』 では100回もテークを取ったというフィンチャー監督。その粘る演出について聞かれたルーニーは「回数は数えてなかったです。テークを重ねるのは当たり前だと思っていましたし」と平然と言うと、フィンチャー監督自身が「54回のテークはあったね」と笑顔で告白しながら「あの『ソーシャル・ネットワーク』 でのシーンは、脚本で9ページもあった長いシーンだから、何度も繰り返し撮るのは当たり前だったんです」と弁解をした。
本作では、ダニエル・クレイグが、敏腕ジャーナリストのミカエル役を演じている。フィンチャー監督はキャスティングについて「ダニエルは、一番最初にキャスティングしました。ジェームズ・ボンドを演じる前から彼のことを知っていたが、才能豊かな俳優です。今回ミカエル役に求めたのは、男らしさと同時に、女性と友情関係を持てる上手い聞き手であること。そしてウィットに飛んでいること。彼はそこを全部網羅していました」。共演したルーニーも「大変素晴らしい方でした。才能が豊かで、その上、忍耐強い。いろんなことを教えてくださる。ユーモアのセンスも素晴らしいし、一緒にいてとても楽しい方でした」と語った。
敏腕ジャーナリストと、天才ハッカーが、40年前の少女失踪事件に挑む本作。ダニエルとルーニーの個性派タッグと、フィンチャーならではの映像マジックに乞うご期待!【取材・文/山崎伸子】