全身ピチピチタイツのセクシー美女!? 鬼才の衝撃作に驚愕

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全身ピチピチタイツのセクシー美女!? 鬼才の衝撃作に驚愕

『オール・アバウト・マイ・マザー』(99)、『トーク・トゥ・ハー』(02)で知られるペドロ・アルモドバルの最新作『私が、生きる肌』(5月26日公開)は、これまた突き抜けた衝撃作となった。天才形成外科医が最先端の医術を駆使して“完璧な肌”を開発し、亡き妻そっくりの美女を創り上げる。神をも冒涜するような設定だが、そこに見る特異なフェチズム、言うなればその変態性が本作の見どころの一つだ。全身にフィットした肌色のボディストッキングをまとった美女が、何ゆえヨガのポーズをしているのか!? その秘密は、巧みなストーリーテリングで暴露されていく。

主演を務めたのは、『アタメ』(89)以来、アルモドバル監督と22年ぶりのタッグとなったアントニオ・バンデラス。暗い過去を背負ったミステリアスな天才医師の静かな狂気には、思わず息を飲む。また、ピチピチウェアの美女・ベラ役に扮したのは、アルモドバルの新たなミューズ、エレナ・アナヤ。監禁され、苦悩する美女という変態心をそそる役柄だが、過酷な逆境の中で生きていこうとする命の輝きを感じさせる。

また、アルモドバルならではのパワフルな母性愛は、本作でも力強く描かれる。その役どころを担うのは『オール・アバウト・マイ・マザー』のベテラン女優マリサ・パレデス。彼女が偏狭的な母性を体現する。

特筆すべきは、時間軸をシャッフルさせた構成力だ。見ていくうちに謎が次々と明かされ、驚愕の事実が判明する。かなり際どいエキセントリックな設定で物語を進めながらも、最終的には雄々しい人間愛を打ち出していくアルモドバル作品。その鮮やかなテクニックには脱帽せざるを得ない。気合を入れて臨みたい映画だ。【文/山崎伸子】

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