キャリー・マリガンがフルヌードにリストカット!女優魂を魅せる入魂の作に興奮
セックス依存症の男の苦悩を赤裸々に描いた話題作『SHAME シェイム』が3月10日より公開された。残念ながら、お堅いアカデミー賞ではスルーされてしまったが、主演のマイケル・ファスベンダーが第68回ヴェネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞したのをはじめ、 本年度の映画賞レースで賞賛を浴びた注目作である。また、ファスベンダーだけではなく、キャリー・マリガンもフルヌードの体当たり演技にトライし、劇中では美声も披露。マリガンにとっても、かなりの勝負作となった。
ファスベンダーが扮するのは、ニューヨークで一見悠々自適に暮らすイケてるビジネスマンのブランドン。問題は頭の中が「SEX!SEX!SEX!」と、常にHのことが頭から離れないというセックス中毒であることだ。当然ながら、激しいセックスシーンから、悶々としたマスターベーションのシーンまで果敢に挑んだファスベンダー。日本では修正が入っているが、海外では彼の巨根ぶりも話題になったとか!? そんな彼に負けじと熱い演技合戦を繰り広げたのが、ブランドンの妹シシー役を演じたマリガンだ。
このシシーもくせ者で、自傷癖はあるわ、恋愛依存症だわの極めて退廃的で不安定な精神状態の困ったちゃん。マリガンはフルヌードも厭わず、目を背けたくなるような痛々しいリストカットのシーンにも全身全霊で挑んだ。また、激しいシーンだけではなく、劇中のライブシーンでは、見事なまでの麗しい歌声を披露し、観客を魅了する。
メガホンを取ったのは、彫刻家、写真家としても活動する才気あふれるスティーヴ・マックイーン監督(有名俳優と同姓同名!)。マックイーン監督はマリガンの本作に向き合う姿勢について「とても勇敢だった」と絶賛する。マリガンは、監督からシシーの役作りのために、22歳の若さで自殺をしたアメリカ人写真家フランチェスカ・ウッドマンのドキュメンタリー『The Woodmans』や、大胆な性描写で知られるベルナルド・ベルトルッチ監督作 『ラスト・タンゴ・イン・パリ』(72)を見せられ、かなりインスピレーションを受けたという。
ファスベンダーとマリガンのただならぬ情熱が映し出された意欲作『SHAME シェイム』。セックス依存症や恋愛依存症というのは本作の刺激的なキーワードだが、見終わった後に伝わってくるのは、普遍的な孤独感や狂おしい虚無感。さて、あなたは彼らを通して何を感じるだろうのか?【文/山崎伸子】