『ドライヴ』キャリー・マリガン「ニコラス監督との仕事はとても素晴らしい経験」

インタビュー

『ドライヴ』キャリー・マリガン「ニコラス監督との仕事はとても素晴らしい経験」

第64回カンヌ国際映画祭でニコラス・ウィンディング・レフンが監督賞に輝いた『ドライヴ』(3月31日公開)。『きみに読む物語』(05)や本作と同日公開の『スーパー・チューズデー 正義を売った日』にも出演する人気俳優ライアン・ゴズリングが、裏社会で働く寡黙なドライバーに扮し、訳ありの人妻と危険な関係に陥っていくサスペンスアクションだ。第84回アカデミー賞前哨戦となる数々の映画賞で助演男優賞を獲得しているアルバート・ブルックスの悪役ぶりも必見だ。今回、重要な役どころであるアイリーンを演じた人気若手女優のキャリー・マリガンに話を聞いた。

――役柄のアイリーンについて聞かせてください

「彼女はシングルマザーで、一人で息子を育てているの。夫は刑務所に入っていて、彼女の仕事はウェイトレス。お金にうるさくて、現実的な人物。他の町から来たのではなくて、LAで生まれ育った女性よ。女優などになりたいといった野心は持ち合わせていなくて、若い頃に結婚したの。“ハリウッドによくいるタイプの女性”ではなくて、“地に足のついた落ち着いた女性”。仕事をしながら、家族のために一番だと思うことをやろうとしているの。ある意味、彼女の世界はとても狭いのだと思う。助けてくれる人を探しているようなところもある。彼女は家庭に恵まれていなくて、夫が生活の全てだと思うの。だから、彼がいなくなってしまって、どうして良いかわからないような状態なの。彼女は分別もしっかりしていて、“ドライバー”(ライアン・ゴズリング)に会った時、すごく悩むことになるわ。彼は、彼女と同じビルに引っ越してくる。その時点で、彼女の夫であるスタンダード(オスカー・アイザック)は6ヶ月間の服役中だけど、そんなに凶悪な犯罪を犯したわけではない。一度だけ何か悪いことをして捕まってしまったけれど、良い人なの。夫がいなくなった6ヶ月後に同じビルに新しい男が引っ越してきた。それがドライバーよ。顔を合わせて、目が合った時、お互いに感じるものがあるけど、気付かないふりをするの。それに彼女は結婚しているし、保守的で、指輪をして、結婚を隠すつもりもない。何度かドライバーと会っているうちに、エレベーターに乗り合わせる機会が訪れる。そこでは、自分の家庭を守ろうとする。そしてスーパーマーケットで車が故障してしまった時、彼が助けてくれる。そこからふたりの関係が始まる。車が故障して、ドライバーが彼女を助けたのをきっかけに、彼は彼女を気にかけるようになっていくの」

――監督とはどんな話し合いをしたのですか?

「それぞれのシーンについての必然性や物語の感情面について見直しを行い、撮影前に長い時間をかけて話し合ったわ。2時間くらいかかったこともあった。だから、その日の撮影が終わった時、撮影した場面が上手くできなかったと思うことは一度もなかった。監督は、とても役者中心の人物よ。指示の出し方も巧くて、役者を落ち着かせたり、芝居くささを消すのも得意だった。とても落ち着いた雰囲気で、一緒にいると、とても素直になれた。作り物の演技になってしまった時は、監督もすぐに気付いてくれる。酷いテイクの時、彼が『良い演技だ』と言って、没にするのはよくあることよ。こちらから『もう一度やって良いですか?』と言わなくても、ニコラスはすぐに気付いてやり直してくれた。彼は頭の固い完璧主義者ではなく、真実を見抜く力を持っていて、納得できるまで続けるの。全ての場面でそうした作業を行った。自分のキャラクターがどう動くべきかを完璧に把握できるまで、試行錯誤を繰り返したわ。とても素晴らしい経験だった」

2005年に公開されたキーラ・ナイトレイ主演『プライドと偏見』で映画デビューを果たした彼女も26歳になった。その間、『パブリック・エネミーズ』(09)や、日本における彼女の人気を決定づけた『17歳の肖像』(09)では英国アカデミー賞主演女優賞も受賞、『マイ・ブラザー』(09)、『ウォール・ストリート』(10)、『わたしを離さないで』(10)、本作と同日公開の『SHAME』と、順調に活躍の場を広げている。今後は、バズ・ラーマン監督『The Great Gatsby』(全米12月25日公開予定)でレオナルド・ディカプリオの相手役を射止め、さらにコーエン兄弟が監督を務める『Inside Llewyn Davis』(全米2013年公開予定)も控えている。この先、間違いなく大女優になっていくであろうキャリー・マリガン、彼女の活躍を見続けていきたい。【Movie Walker】

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