自動車メーカーとのコラボはアニメ業界の新たな流れか?

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自動車メーカーとのコラボはアニメ業界の新たな流れか?

昨年、テレビ放送されたアニメ「TIGER&BUNNY」で、視聴者たちを驚かせたのが、スポンサーの援助を受けて戦うヒーローという設定。実際、彼らはPEPSIやソフトバンクといった実在の企業のロゴを身につけ、劇中で戦い、話題を呼んだ。公共団体や学校法人までもがアニメというコンテンツに興味を注ぐなか、今、アニメ業界に一つの不思議な流れが来ている。それは自動車メーカーがアニメに何かしらの形で関与しているということだ。

まずその先陣を切ったのが、2011年2月からWEBで配信された「放課後のプレアデス」。スバル(富士重工業)とGAINAXがコラボした本作は、星好きな少女と摩訶不思議な生物との出会いを描いた物語だが、決して同社の車が登場するわけではなく、主人公らが持つシャフトと呼ばれる魔法の杖のようなものがスバル車のバンパーをモチーフにしたものという程度だった。

同作に続いてコラボ作品として登場したのが、2012年1月からテレビアニメとして放送された「輪廻のラグランジェ」。こちらは日産自動車のグローバルデザイン本部が“ウォクス・アウラ”と呼ばれる主人公らが搭乗するロボットのデザインを手がけるという、世界的に見てもこれまでにないケースとなり評判を呼んだ。

そんな2作に続くのが「PES」と「わんおふ」。前者はTOYOTAとSTUDIO 4℃がコラボし、宇宙人と地球人の少女の純愛が描かれる。一方、後者はHONDAが特別協賛しており、田舎町で暮らす女子高生が乗るバイクとして同社のジョルノが登場する。

では、なぜ自動車メーカーがアニメ作品と関わるようになったのか?「放課後のプレアデス」に参加したスバルは、当初、同社のレガシィに採用した衝突防止機構をアピールする手段としてアニメを選んだのだが、GAINAXと協議を重ねるうち、「決して車が出なくても、スバルが挑戦している」ということがわかれば良いというスタンスになったのだとか。なので、前述したシャフトに同社製品の名残は見え隠れするものの、決してスバルの車が大体的に出てくることはない。

「PES」のヒロインが車フェチだったり、「わんおふ」の主人公がバイク乗りだったり、それぞれの作品でコラボメーカーの車種が登場することはあるものの、その車種を売るのではなく、視聴者に対し「面白いことやってるな」と思わせることが主眼のようである。

彼らの成功を見て、今後、こういったアニメとのコラボが他業種に広がっていくかはわからないが、日本が誇るコンテンツ“アニメ”とタッグを組むのは決して間違いではないだろう。【トライワークス】

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