第65回カンヌ国際映画祭、パルム・ドールに輝いたのはミヒャエル・ハネケ監督『LOVE』!
授賞式まで二時間を切ろうという時間になって雷が突然鳴り始めたかと思うと、大粒の雨が降ってきた。今年の第65回カンヌ映画祭は雨にたたられているようだ。リュミエール劇場の前に陣取ったカメラマンやファンたちも傘を開き、スターたちの入場を待っている。思えば、これが波瀾の予兆だったのかもしれない。
受賞結果は大方の予想を大きく外すものとなった。カンヌの下馬評はあまり当たらないものとはいえ、これだけ外れるのも珍しいのではないか。とはいえ、誰もが素晴らしいと評価し、つい3年前の2009年にパルム・ドールを受賞したばかりなので、今回は俳優賞などで押さえられるのだろうと思っていたミヒャエル・ハネケ監督がパルム・ドールを獲得したのは嬉しい誤算だったといって良いだろう。
2012年の第65回カンヌ国際映画祭の受賞結果は次の通りとなった。
パルム・ドール 『LOVE』ミヒャエル・ハネケ監督
グランプリ 『REALITY』マッテオ・ガローネ監督
監督賞 『POST TENEBRAS LUX』カルロス・レイガダス監督
審査員賞 『THE ANGELS SHARE』ケン・ローチ監督
脚本賞 『BEYOND THE HILL』クリスチャン・ムンギウ監督
男優賞 マッツ・ミケルセン(『THE HUNT』)
女優賞 クリスティナ・フルトゥール、コスミナ・ストラタン(『BEYOND THE HILL』)
カメラ・ドール 『BEASTS OF THE SOUTHERN WILD』ベン・ゼトリン監督
短編パルムドール 『SILENT』L・レザン・イェシルバス監督
大荒れの受賞結果に、記者会見も混乱。食ってかかるような質問をする記者もいたりした。しかし、決まったものは仕方がない。これが今年のカンヌ国際映画祭、なのである。【シネマアナリスト/まつかわゆま」