『幸せへのキセキ』のエル・ファニング「見たら絶対に前向きになれる作品よ」
公開2週目を迎える『幸せへのキセキ』が大好評だ。ベンジャミン・ミーの実話を基にした物語は、最愛の人の死から立ち直ろうとする父親(マット・デイモン)の奮闘を描くヒューマンドラマだ。魅力的な俳優陣が数多く出演している中から、学校に通わず、動物園内で暮らしながら働くリリー・ミスカという少女を演じたエル・ファニングのインタビューをお届けする。
――本作のストーリーについて教えてください
「実話に基づいた作品です。広い動物園が舞台です。だから動物がたくさん出てきます。すごいですよね、多くの動物に囲まれ、実際に動物園の中で撮影するなんて。とてもわくわくしていました。毎日現場に来るのが楽しみでした。動物やこの素晴らしい自然の中が大好きです」
――本作の最初の印象はいかがでしたか?
「脚本を読んでいて、最後のページですごく幸せな気持ちになったのを覚えているわ。監督は魅力的なキャラクターを作ることにすごく長けていて、誰もがそのキャラクターの人生を追ってしまうの。だから監督の作品が大好き」
――キャメロン・クロウ監督との仕事はいかがでしたか?
「キャメロン・クロウとはこれまで仕事をしたことがなかったから、全く新しい経験だったわ。彼は私のリリーに対する解釈にも理解を示してくれて、私がやりたいようにやらせてくれたの。最初のオーディションの時、自分自身の素の部分をこの役にかなり投影したの。自分が時々感じる思春期特有の感情とかね。彼女自身もそんな時期に差しかかっているから」
――監督との仕事はとても良い経験になったようですね
「監督は最高よ。現場には常に音楽がかかっていて、雰囲気はとてもリラックスしている。セットの全体のトーンも素晴らしいし。彼はみんなが家族みたいな雰囲気になることを望んでいるの。彼の子供たちやマットの子供たちもセットに来ていたし、みんなの中に絆が生まれていた。まるでみんなで特別なことを成し遂げようとしているような感じだったわ。マットのお嬢さんのアレクシアとはすっかり仲良くなっちゃって、彼女自身も小さな役でこの作品に出演しているのよ。すごく楽しかったし、毎日が最高だったわ」
――演じたリリーという役柄について教えてください
「彼女は自分独自の世界に暮らしているような人です。生まれてからずっと動物だけに囲まれて育ったため、人との接し方がよくわからないの。そんな暮らしの中に突然ディランが現れ、リリーは未知の生き物であるこの男の子に興味を引かれます。彼女は、ディランの気を惹こうとしますが、どうやって近づいたら良いのかわかりません。今まで誰とも話したことがなかったから当然です。うまく気持ちを伝えられないリリーは、ディランと衝突してばかりなの」
――リリーとディランの関係を教えてもらえますか
「リリーとディランは正反対のタイプ。もし、リリーがディランみたいに落ち込んで気難しい子だったら、ふたりはああいう関係にはならなかったと思うの。彼女は自分のことを積極的にアピールするけど、彼はシャイなタイプだから。リリーが初めてディランに会った時、彼のことを動物みたいに扱うの。彼女の周りにいたのは動物ばかりだったから、彼のこともちょっとミステリアスで面白い生き物みたいにとらえてしまったのね」
――スカーレットとの共演はいかがでしたか? 従妹という設定だったんですよね
「すぐに意気投合して、今でも連絡を取り合っていて、しょっちゅうメールしているわ。スカーレットと知り合えて本当に良かった。だって彼女も私と同じぐらいの年の時に俳優の仕事を始めて、女優として大成しているから。だから彼女を見習って、私も彼女みたいになりたいなと思っているの」
――動物との共演はいかがでしたか?
「お気に入りの動物は小さなサルのクリスタルだったわ。彼女は最高よ、基本的には人間ね(笑)。人間の食べ物を食べるし、とっても愛くるしかった。それに大きな猫たちも大好きだったわ。ライオンとかトラね。クマは超大きかったわ(笑)」
――高待遇を受けていのは俳優と動物のどちらでした?
「動物たちね(笑)。彼らは手がかかったから。どの動物にもトレーナーがついていたのよ。食事も特別メニューだったし。全てがこと細かく決められていたわ。でも彼らと過ごせて本当に楽しかった。クマ、ライオン、トラには近づくことはできなかったのがちょっと残念だったけど」
――好きな動物は何ですか?
「どの動物ともとても楽しく過ごしたから難しいけれど、一番可愛かったのはオマキザルのクリスタルかな。彼女は人間よりも賢いの。本当に驚くほどよ。クリスタルは『ハングオーバー!史上最悪の二日酔い、国境を越える』にも出演しているのよ。彼女は人間みたい。というか中身は人間だと思うわ。
――もともと動物は好きだったんですか?
「ええ、好きよ。ルー・エレンという犬と、ゴールディという馬と、エンジェル・ウィングという魚を飼っているの。魚は飼い始めて4年になるんだけど、普通の金魚のはずなのに、ちょっと変なのよ。だってゴールドじゃないんだもの。すごく鮮やかな色をしていて、今でも元気いっぱいだし、まるで奇跡の魚っていう感じなの」
――自身の才能の源はどこにあると思われますか? あなたもお姉さんのダコタも素晴らしい女優ですが、これは遺伝的なものでしょうか?
「両親はふたりともアスリートだったのよ。おかしいでしょ。彼らはこういう芸術の世界とは全く無縁な人たちなの。演技の経験もないし、学芸会にすら出たことがないのよ。私も姉もいつも家の周りで別のキャラクターになりきって、別の世界にいるつもりになって遊んでいたわ。そんな私たちを見て両親は私たちが本当に芝居に興味があるのか見極めたくなったんだと思う。そうやって演技の世界に入ったんだけど、実際に撮影現場に行ってみたらそれは楽しくて。演技は一生続けていきたいし、そうなると良いなと思っているの」
――本作の話に戻りますが、本作の魅力、本作が特別な作品であるポイントはどこにあると思いますか?
「見たら絶対に気持ちが前向きになるところ。悲しいところもあるけれど、暖かさにあふれている部分もあるし、登場人物たちそれぞれの人間関係や、動物たちとの関わりも本当に楽しく、そして何と言っても可愛いし。見ているうちに笑い出して、きっと良い気分になるわ。子供たちは母親を失い、ベンジャミンは妻を失うという、家族にとって最も辛い状況を描き、彼らがそこから絆を取り戻していく様を描いているのよ」【Movie Walker】