佇まいだけで笑いを誘う生粋のコメディ俳優、阿部サダヲの魅力とは?
劇団大人計画の俳優としてデビュー以来、様々な役どころをこなし、人気を博する俳優・阿部サダヲ。映画初主演となった『舞妓Haaaan!!!』(07)での主人公や、人気バンド、グループ魂のボーカル“破壊”としてのユニークな一面が注目される反面、近年ではドラマ「マルモのおきて」で急死した親友の子供たちを預かる人の良い男、NHK大河ドラマ「平清盛」で主人公を導く貴族で僧侶の信西を演じるなど、ただコミカルなだけではない役も多くなってきた。
そんな阿部が最新主演作『ぱいかじ南海作戦』(7月14日公開)で、久々に彼ならではのエキセントリックな部分を見せてくれている。本作は椎名誠の同名小説を映画化したもので、リストラと離婚というダブルショックに見舞われ、気分一新、南の島へやって来たものの、到着早々、4人組のキャンプ生活者たちに全財産を奪われてしまった男が、後からやって来た男女3人との共同生活を通して再生していく姿を描く物語だ。
一見、クールな元カメラマンかと思いきや、綺麗な海を見てテンションMAXになり、いきなりすっぽんぽんになるなど、最初からちょっと暴走気味。そして、全財産を奪われ、失意の中、都会からやって来た若者と出会うや、何とか引き留めようと、キャンプ生活の達人を装う姿が笑いを誘う。
本作以降も、火事で失った店の再建のために夫婦で結婚サギを企む『夢売るふたり』(9月8日公開)や、無農薬でのリンゴの栽培に成功した実在の人物に扮する『奇跡のリンゴ』(2013年公開予定)など、主演作が立て続けに公開される。まずは、その佇まいだけで笑いを誘う、阿部サダヲの魅力を本作で再発見してもらいたい。【トライワークス】
作品情報へ