乾緑郎の「完全なる首長竜の日」が佐藤健×綾瀬はるか主演で映画化!
乾緑郎の「完全なる首長竜の日」が、タイトルを『リアル 完全なる首長竜の日』とし、佐藤健、綾瀬はるかの主演で映画化されることがわかった。原作では姉弟という設定を、幼馴染で恋人という設定に変え、佐藤は藤田浩市を、綾瀬は和淳美をそれぞれ演じる。監督は『トウキョウソナタ』(08)など、各作品がカンヌや釜山、ヴェネチアの国際映画祭に出品されている黒沢清が務める。
原作は2010年に「このミステリーがすごい!」で、選考委員満場一致で大賞を受賞。昏睡患者と意思疎通ができる“センシング”により、現実と仮想の境界が曖昧になっていくストーリーは、意識下に入っていく『インセプション』(10)を彷彿とさせる。自ら命を絶とうとして昏睡状態に陥った淳美。浩市は昏睡状態の患者と意思疎通のできる脳神経外科医療の一種“センシング”によって、彼女の自殺未遂の理由を探り、淳美を昏睡状態から目覚めさせようと試みる。淳美の潜在意識に潜入した浩市は、淳美から「昔、私が描いた首長竜の絵を探してほしい」と頼まれる。淳美の意識下に入っていくうちに、浩市は奇妙な光景を度々目にするようになり混乱する。現実と仮想の境界が崩れていく中で、浩市は15年前にふたりが過ごした飛古根島に向かう。
脚本に目を通した佐藤と綾瀬は、「面白すぎて震えました。最初から引き込まれて、後半で驚きの展開があり、お話が終わる最後の最後まで目が離せなかったです」(佐藤)、「意識下の世界は現実離れした不思議な世界なので、『どういう感じになるんだろう』と思って読んでいました」(綾瀬)と、作品の印象を語る。撮影では「ほぼ毎日喧嘩しながら楽しくやっている(笑)」(佐藤)ようで、綾瀬は「すごくしっかりされていて、私の方が年上なんですけど、『先輩!』って感じです」と息はぴったりのようだ。
黒沢監督とのタッグについて、綾瀬は「ト書きの動き一つにしても、『こういう動きをするんだ!』って、いつも想像外のことを仰るので、ワクワクします」といい、佐藤も「最初は何も仰らずに、セリフのニュアンスなども任せてくださるので意外でした。そのうえで細かい指示を出してくださいます」と信頼を寄せている。黒沢監督は「人の心の中をまるで旅でもするかのように探索して回ること、それは何とも魅惑的な行為だが、同時に耐えがたい恐怖の体験かもしれない。なぜなら、それは心の奥底に潜む絶対に見てはいけないものを見てしまうことでもあるからだ。ましてや、探索の先が愛する人の心の中だったとしたら。私は今回初めてこのような物語を扱う。その理由は、不思議な原作に出会ったことと、映画で人の心の中を撮影することはできないという原則に挑戦してみたかったからである」と熱く意気込みを語る。
現在撮影中の本作は、7月末まで撮影予定となっており、2013年初夏公開。2013年5月開催の第66回カンヌ国際映画祭を視野に入れており、佐藤も「監督、可能であるならば、僕たちを是非カンヌに連れて行ってください!」と大きな期待を寄せる。その他の共演者には、精神科医役で中谷美紀、淳美の担当編集者役でオダギリジョー、淳美のアシスタント役で染谷将太、脳神経外科医役で堀部圭亮、淳美の父役で松重豊、浩市の母役で小泉今日子が出演する。【Movie Walker】