『鍵泥棒のメソッド』秘話を堺雅人が告白「広末さんが可愛すぎてNGが出た」
『アフタースクール』(07)の内田けんじ監督最新作『鍵泥棒のメソッド』(9月15日公開)の完成披露試写会が8月1日にイイノホールで開催され、出演の堺雅人、香川照之、広末涼子、森口瑤子、そして内田けんじ監督が登壇。出演者一同が声をそろえ、「本当に面白い作品です!」と笑顔で手ごたえを語った。
売れない役者と伝説の殺し屋。ひょんなことから人生が逆転してしまったふたりの男が巻き込まれる騒動を、笑いとサスペンスを交えて描き出す。内田監督が脚本も兼ねた本作は、第15回上海国際映画祭で日本映画として初の最優秀脚本賞を受賞している。監督は「脚本の完成までには、3、4年もかかっちゃったんです。吐いたり、泣いたりと色々あった。でも、役者の皆さんから愛情をもらって、僕も愛情をかけて作りました」と充実の表情で語ってくれた。
堺は「前回の『アフタースクール』はとても込み入った話で、脚本を一回読んだだけでは意味がわからなかった。今回は一回で意味がわかって良かった」と脚本の印象を述懐。記憶を失う前と後で、両極端とも思える性格を見事に演じ分けた香川は、「もともと両極端な性格なので大丈夫でした(笑)。2役、3役と演じ分けなければならない場合、役を細かく分けない方が良いと思っている。統一した自分でいた方が、お客さんはきちんと分けて見てくれる」と、独自の演技論を明かしてくれた。
広末は、笑顔を封印して鮮やかなコメディエンヌぶりを披露している。「香川さんと堺さんのお芝居を見て、笑ってしまいそうになった。マイペースで芝居をしようと心がけました」と苦労を告白。徹底して、笑顔を見せてはいけない役どころだったようで、堺は「広末さんが可愛すぎるからNGっていうのがありましたね」とエピソードを明かすと、広末はキュートな照れ笑いを浮かべた。
そして注目ポイントとして、堺は「恋する香川さんが見られますよ」とアピール。香川は「僕だって恋するんです!毎年、僕には広末さんを追いかけまくる役が来るんです。今回は、広末さんにだいぶ近づきます!」と話し、会場の笑いを誘っていた。
また、この日は国際映画祭での快挙を祝って、本作のために主題歌を書き下ろした吉井和哉も駆けつけた。「僕が思っている、日々の人生のテーマと重なれば良いと思った。細かい点が集まって、素晴らしい作品になっている」と曲に込めた思いを話してくれた。
緻密に練り上げられた内田ワールドを、日本を代表する演技派が見事に体現する本作。監督も「役者さんたちを見ているだけでワクワクした!」と語るように、彼らの見せる意外な表情、そして笑いと驚きに満ちた展開に胸躍ること間違いなし!公開を楽しみに待ちたい。【取材・文/成田おり枝】