『ロック・オブ・エイジズ』トム・クルーズの返事を6ヶ月待ったアダム・シャンクマン監督「トムに頼むのは当然の選択」
ロックのヒットナンバーを集めて構成されたミュージカルを映画化した『ロック・オブ・エイジズ』(9月21日公開)。本作はシンガーになる夢を追ってハリウッドへ出てくる主人公シェリー(ジュリアン・ハフ)の視点で描かれているが、物語のキーとなる存在はやはりトム・クルーズ演じるカリスマロックスターのステイシー・ジャックスだ。トムの返事を実に6ヶ月も待ったアダム監督は「トム以外に頼みにいかなかった」という、その経緯を教えてくれた。
「ステイシー・ジャックスはロック界最大のスター。だから、映画界最大のスターが演じると最高だと考えた」と思い返すアダム監督は、トム・クルーズに狙いを定めた。オファーを出そうとした絶妙なタイミングで、偶然にもトムと会ったという監督は、最初に話を持ちかけた時のことを「トムにばったり会った時に、僕は彼に『ミュージカル映画を監督することになって、この役(ステイシー・ジャックス)を君にオファーするつもりなんだ』って話したんだ。そうすると、彼は『本気かい?』と聞いてきたので、『もちろん』と答えた。トムはステイシー・ジャックスのキャラクターを爆笑していたよ(笑)」と振り返る。
しかし、トムのスケジュールは超多忙を極め、すぐに出演契約にサインができるわけではない。その間、アダム監督は他のキャスティングに動き出したといい、「キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アレック・ボールドウィン、メアリー・J・ブライジ、ラッセル・ブランドなど、ほぼ全て第一希望の人を捕まえられたんだ。シェリー(ジュリアン・ハフ)とドリー(ディエゴ・ボネータ)という主人公になる子供たち以外はオーディションもしなかったよ。みんな仕事をしたことがあったから、僕が頼んだんだ。みんな『YES』と言ってくれたよ」とキャスティングは順調に進んでいたことを明かす。
トム・クルーズは当然保留になっていたが、監督は他の俳優にステイシー・ジャックスを頼むつもりはなかったようで、「僕にとってトムを選択することは当然だし、自信もあった。だって、彼がミュージカルをやりたいのを知っていたからね。今まで彼とミュージカルの話をしていたけど、彼にふさわしい作品が見つからなかった。でも、この役を依頼した時、彼はとても興奮していたし、スリルを感じていたと思うんだ、だって、今まで誰もトム・クルーズにこんなことをオファーしたことはないからね」と語る。
肝心のトムから出演契約にサインをもらうまでは、実に6ヶ月かかり、ようやく返事をもらったが、「でも、これが最終的なものにならないのは僕もトムもわかっていた。もし、彼が歌うことができなかったら“決してやらない”ということはお互い同意していたからね。サインをした後のトム・クルーズの熱意はすさまじかった。彼は毎日5時間、週5日、5ヶ月間のボイストレーニングを行ったんだ。僕が見に行った時、彼はアダム・ランバートのように無理なくスケールを上下させて歌うんだ。それで決まりだったね」と振り返る。
ハリウッドでトップを走り続けるトム・クルーズは、アクション俳優でもあり、演技派俳優でもあり、「観客はスタントかどうか、違いがわかるよ。必ず伝わるから」と語るように、ハリウッドでもスタントを好まない俳優として知られる。しかし、なぜ彼は全て、歌までもこなせるのか。アダム監督は「彼はトム・クルーズだよ。彼にやれない役は何もないよ」と冗談めかし、「『なぜ彼には全て備わっているのか?』って感じたよね。フェアじゃない。でもフェアなんだ。なぜなら彼は、僕が出会ったどんな人よりも努力するんだ」と、その才能は努力にあることを明かす。さらにトムの見所は歌だけではなく、セクシーさにあることも教えてくれた。「彼はアクションが得意でがっちりしている。でも、この映画を見ると、かなりの人が“トムがセクシー”だということに反応している。それは普段の彼にない“揺れるように動いたり”“セクシーに背中を反らしたり”“腰をセクシーに動かしたり”を自然に演じているからなんだ。この動きをマスターするのに彼がどれほど頑張ったか、僕らもほとんど殺されかけたよ(笑)。彼は納得した、ちゃんとしたものが撮れるまで絶対に止めないんだ」と、トムの姿勢を力説した。努力の天才トム・クルーズが今までに見せたこともない、セクシーに歌う姿を是非とも劇場で見てもらいたい。【Movie Walker】