永山絢斗と田畑智子が濃厚ラブシーンを振り返り「毎日バスローブ姿だった」と告白

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永山絢斗と田畑智子が濃厚ラブシーンを振り返り「毎日バスローブ姿だった」と告白

第24回山本周五郎賞を受賞した同名小説の映画化『ふがいない僕は空を見た』の初日舞台挨拶が11月17日(土)、テアトル新宿で開催され、永山絢斗、田畑智子、窪田正孝、小篠恵奈、原田三枝子、タナダユキ監督が登壇。田畑は「とても思い入れのある作品。一言では言い表せられないですが、今日という日が来るのをとても楽しみにしていました」と笑顔を見せた。

窪美澄の短編連作を原作に、生と性を真正面から描く本作。永山扮する男子高校生・卓巳と、田畑扮するアニメのコスプレが趣味の主婦・里美との関係が、大胆な性愛描写を交えて描き出される。永山は「クランクインからベッドシーンで。5日間くらい、毎日バスローブ姿だった(笑)。刺激的な現場でしたね」と濃厚なラブシーンを振り返った。不倫の間柄にある卓巳と里美の関係性については、「難しいですけれど、恋愛は自由。年上の女性の魅力をすごく感じましたね」と素直な意見を話してくれた。

また、コスプレをして不倫をする主婦という役どころについて、田畑はこう語った。「毎日、彼女の気持ちを最優先に考えていました。言葉をそんなに発する人ではないので、ト書や彼女の行動から気持ちを考えて。複雑なシーンが多かったのですが、映画から彼女のそういう気持ちが伝われば良いなと必死でした」。そして、お互いの印象を聞かれると、永山は「この仕事をする前から田畑さんのことを見ていて、ずっと気になっていた女優さんだったのですごく嬉しい」と微笑み、一方の田畑も「優しいオーラ、空気を持った方。とても温度が伝わってくる人」と答えた。ふたりの間には穏やかな空気が流れ、自然な雰囲気のなか、複雑で激しい関係性を演じきったことを明かした。

卓巳の親友であり、痴ほう症の祖母と貧しい家で暮らす青年を演じたのが窪田だ。出演作が相次ぐ彼も「エッチな方の“性”と、生きる方の“生”がテーマの映画。苦しいとか、大変っていうのは、実は生きていれば当たり前のこと。言葉にならないものだけれど、それを実際に映像で表現するとこんなにもジーンと来るものであり、残酷なものなんだなと感じました」と、本作の力に刺激を受けた様子で語ってくれた。

メガホンを取ったのは、『百万円と苦虫女』(08)、『俺たちに明日はないッス』(08)など、繊細な心理描写に定評のあるタナダユキ監督だ。4年ぶりの新作を撮り終えたタナダ監督は、「監督ってどうやるんだっけという思いだったんですが(笑)、素晴らしい原作と脚本、キャスト、スタッフのおかげで何とか乗り切ることができました」と話し、「カメラの横でお芝居を見ることって、こんなにも贅沢なことなんだってひしひしと感じた現場でした」と充実の表情を見せた。

最後に永山は「自分のことですが、今年の3月に色々とやってしまいまして」と、3月の自走バイクによる横転事故を振り返り、「今日、この場に立てて嬉しく思います。映画の登場人物たちが、自分自身とどう向き合っていくかを見ていると、生きることが少しだけ自分自身でも見えた気がした。良い作品に参加できて良かった」と胸を張った。人間らしい複雑な心情表現のなかに、生きる喜びや痛みを鮮やかに映し出した本作。体当たりで作品に挑んだ監督、キャスト陣に心から敬意を表したい。【取材・文/成田おり枝】

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