観月ありさ、妖怪役に戸惑い「体はどこまで巨大化するの!?」
観月ありさが、『映画 妖怪人間ベム』(12月15日公開)で、悲しくも恐ろしい復讐鬼と化した人間妖怪のさゆり役を熱演。本作では特殊メイクを施し、右腕には妖怪のパーツを付け、ハードなアクションやブルースクリーンでの撮影にトライした。彼女にインタビューし、興味深い撮影裏話を聞いた。
1968年に放送されたアニメーションをベースに、亀梨和也、杏、鈴木福を迎えてドラマ化され、好評を博した『妖怪人間ベム』。書き下ろしのストーリーである劇場版では、ベムたち3人が大手製薬会社にまつわる怪事件を追う。観月はその事件の鍵を握る役どころを演じた。
人間妖怪役には、どうアプローチしていったのか?「人間で幸せだった時と、妖怪になってしまった今を、どう演じ分けるかがキーになると思いました。人間だった時代が幸せであればあるほど、妖怪になった時に切なさが漂う気がしたので。そういう意味で言うと、人間だった頃を演じる方が難しかったです。子供がいるお母さん役ということで、子供との関係性をどう演じるか、どこまで幸せだったかを出すかというさじ加減に、少し悩みました」。
彼女は、妖怪人間の魅力について、「哀愁が漂う切なさが人の心をそそる」と確信していた。「幸せになりきれない現実があればあるほど、惹きつけられるというか。ドラマもそうですし、アニメを見ていた時もそう思いました。さゆり役でも、人間性の深さが肝になると思ったので そこは最善を尽くして出していきたかったです」。
ベムたちと格闘するシーンも見ものだ。亀梨との共演シーンについて聞くと、やはりアクションシーンが印象的だったと語る。「運動神経がすごく良い方だから、アクションや殺陣をやる時、全く不安がなかったです。亀梨さんに安心してぶつかっていけました。杏ちゃんもそうですが、すごくアクション慣れされていると感じました。私も体を動かすのが好きなので、とても楽しめました」。
特に、ベムたちと最後の死闘を繰り広げるシーンは作品のハイライトだ。「後半は動けない辛さがかなりありました。CG処理が入るので、ブルーバックで撮影をしていたんですが、私は今、いったいどんな状態で、誰と戦っているんだろう?と思うことが多くて。毎回、監督に説明していただいても、なかなか把握できなかったです。完成形は監督の頭の中だけにあるって感じでした」。
確かに最後のさゆりの体の変貌ぶりがすごい。さらに体に異変が起き、手足が長く伸びた巨大な怪物と化すのだ。「監督から、『どんどん巨大化していきます』と説明を受けたので、『では、私の体はどこにあるんですか?』と聞くと、『オブジェの中に入っている状態です』と言われて。実際、撮影時はオブジェの中にポコッとはまって動けなかったのですが、そういう状態でもベムたちと戦っているわけです。その時、自分がどうすれば良いのかわからなくて、無我夢中でただ動かないようにしていました。完成するまで謎だったシーンがたくさんあったので、でき上がった映画を見て、ようやく『なるほど、こうなっていたのか』と納得したわけです」。
最後に、映画の見どころについてもたくさん語ってくれた。「恋愛、家族愛、人間の絆が、すごくバランスよく散りばめられています。今回は、ベロとみちるちゃんとの甘酸っぱい初恋というエッセンスも入っていて、素敵だなと思いました。小さい子供から大人までオールマイティーに楽しめる作品ってなかなかない気がしますし、そこは『妖怪人間ベムの』最大の魅力です!」。【取材・文/山崎伸子】